Vue 3のComposition APIを活用した状態管理パターンの構築
2024年12月12日 15:16
Vue.jsは、データバインディングやコンポーネントシステムなどの優れた機能により、Webアプリケーションの開発において人気のあるフロントエンドフレームワークです。しかし、大規模なアプリケーションを開発する場合、状態管理が複雑になりがちです。Vue 3では、Composition APIと呼ばれる新しいAPIが導入されました。このComposition APIを活用することで、状態管理をより柔軟に行うことができます。本記事では、Vue 3のComposition APIを使った状態管理パターンの構築方法について紹介します。
状態管理とは、アプリケーションの状態を管理することを指します。例えば、ユーザーがログインしているかどうかや、現在のページの情報などがアプリケーションの状態にあたります。Vue.jsでは、データバインディングにより状態を反映させることができますが、大規模なアプリケーションでは、複数のコンポーネントで共有する状態を管理する必要があります。そのために、Vuexという状態管理ライブラリが提供されています。
しかし、Vuexを使用すると、コンポーネント内での状態の定義や更新の方法が限定されてしまうことがあります。また、Vuexの文法を覚える必要があり、初心者にとっては敷居が高いと感じるかもしれません。そこで、Vue 3ではComposition APIが導入されたのです。
Composition APIとは、Vue 3で新しく導入されたAPIのことです。Vue 3では、従来のOptions APIと並行して使用することができます。Options APIでは、data
やmethods
などのオプションの中に状態やメソッドを定義しますが、Composition APIでは、より関心のあるものごとにコードをグループ化することができます。これにより、コードの再利用性や保守性が向上します。
Vue 3のComposition APIを使った状態管理パターンには、大きく分けて2つの方法があります。1つは、reactive
やcomputed
を使用する方法、もう1つはprovide
とinject
を使用する方法です。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
Vue 3では、reactive
とcomputed
という2つのAPIが提供されています。reactive
は、オブジェクトを受け取り、そのオブジェクトをリアクティブにするものです。つまり、そのオブジェクトのプロパティの変更を検知して、自動的に再レンダリングを行います。また、computed
は、リアクティブなデータを返す関数を定義するものです。この関数は、依存するリアクティブなデータが更新された時にのみ再評価されます。
例えば、以下のようなコードを考えてみましょう。
このコンポーネントでは、count
というリアクティブなデータと、doubleCount
というリアクティブなデータを定義しています。doubleCount
は、count
の2倍の値を返すように定義されているため、count
が更新される度にdoubleCount
も自動的に再評価されます。
このように、reactive
とcomputed
を組み合わせることで、Vuexのようなストアを使用せずに状態管理を行うことができます。また、コンポーネント内で定義したreactive
なオブジェクトをprovide
することで、そのオブジェクトを別のコンポーネントで使用することもできます。
Vue 3では、コンポーネント間でデータの受け渡しを行うためのprovide
とinject
というAPIが提供されています。provide
は、リアクティブなデータを返す関数を定義するものです。この関数の戻り値は、コンポーネント内で使用しているプロパティと同じようにリアクティブになります。また、inject
は、provide
で定義されたデータを受け取るためのものです。inject
で受け取ったデータは、リアクティブなので、そのデータが更新されると自動的に再レンダリングが行われます。
例えば、以下のようなコードを考えてみましょう。
このコンポーネントでは、provide
を使ってcount
というリアクティブなデータを定義しています。provide
の第1引数には、データのキーを指定し、第2引数には、そのデータ自体を渡しています。そして、ChildComponent
でcount
を使用するために、inject
を使います。
このように、inject
を使うことで、親コンポーネントで定義したリアクティブなデータを子コンポーネントで使用することができます。
Vue 3のComposition APIを使うことで、状態管理をより柔軟に行うことができるようになりました。reactive
やcomputed
を組み合わせる方法や、provide
とinject
を使う方法など、様々な方法があります。また、これらの方法を組み合わせることで、より複雑な状態管理を行うことも可能です。しかし、どの方法を使うにせよ、状態管理において重要なのは、コードの再利用性や保守性を考えることです。適切な方法を選択し、より良いアプリケーション開発を行いましょう。
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