# C# WPFによる印刷機能の実装ガイド

## 目次

1. はじめに

2. WPFで印刷機能を実装するメリット

3. WPFの印刷基本構造

   1. PrintDialogの使用

   2. PrintQueueとLocalPrintServer

   3. XPSを利用した印刷

4. 印刷可能なVisualの作成

5. 印刷動作の実装

   1. PrintDialogを用いた印刷

   2. XPSドキュメントの作成と印刷

6. コードサンプル

   1. PrintDialogを用いた基本的な印刷

   2. XPSドキュメントを用いた印刷

7. 印刷設定のカスタマイズ

   1. ページ設定とレイアウトの調整

   2. 印刷プレビューの実装

8. WPF印刷のベストプラクティス

9. よくある課題とその対処法

10. まとめ

## 1. はじめに

WPF（Windows Presentation Foundation）は、リッチなユーザーインターフェースを提供するための強力なフレームワークです。その機能の一つとして、WPFアプリケーション内でユーザーに印刷機能を提供することが可能です。この記事では、C#とWPFを使って印刷機能を実装する方法について詳しく解説します。

## 2. WPFで印刷機能を実装するメリット

印刷機能は、ユーザーがデジタルデータを物理的な形で出力する際に必要な機能です。特にビジネスアプリケーションでは、報告書やグラフの印刷が欠かせません。WPFを利用することで、以下のようなメリットが得られます。

- **リッチな印刷レイアウト**: WPFは、XAMLを用いた詳細なレイアウト設計が可能で、印刷物の精度を高めます。

- **統一されたコードベース**: アプリケーションのUIと印刷機能を同一の技術で実装でき、保守性が向上します。

- **標準的な印刷プロトコルサポート**: Microsoftの印刷技術に準拠し、広範なハードウェアで安定した出力を保証します。

## 3. WPFの印刷基本構造

印刷を行うには、主にPrintDialog、PrintQueue、そしてXPS（XML Paper Specification）技術を活用します。

### 3-1. PrintDialogの使用

`PrintDialog`クラスは、印刷設定をユーザーに提供するための標準ダイアログを表示します。これを通じて、ユーザーは用紙サイズ、方向、および印刷するプリンタなどを選択できます。

```csharp

PrintDialog printDialog = new PrintDialog();

if (printDialog.ShowDialog() == true)

{

    printDialog.PrintVisual(myVisual, "My First WPF Print");

}

```

### 3-2. PrintQueueとLocalPrintServer

`PrintQueue`は、プリンタジョブを管理するクラスで、`LocalPrintServer`を介して利用可能なプリンタにアクセスできます。

```csharp

LocalPrintServer printServer = new LocalPrintServer();

PrintQueue defaultPrintQueue = printServer.DefaultPrintQueue;

// 印刷キューの情報を取得

Console.WriteLine("Default printer: " + defaultPrintQueue.Name);

```

### 3-3. XPSを利用した印刷

XPSは、WPFでの印刷の際に使用される標準ドキュメントフォーマットです。このフォーマットは、ページレイアウトの再現性を確保します。

## 4. 印刷可能なVisualの作成

WPFで印刷を行う際、`Visual`オブジェクトを印刷します。通常、ユーザーインターフェース要素を`Visual`として用いるほか、カスタム描画もできます。

```csharp

DrawingVisual drawingVisual = new DrawingVisual();

using (DrawingContext dc = drawingVisual.RenderOpen())

{

    // テキストを描画

    dc.DrawText(

        new FormattedText("Hello, world!",

            CultureInfo.InvariantCulture,

            FlowDirection.LeftToRight,

            new Typeface("Arial"),

            16, Brushes.Black),

        new Point(10, 10));

}

```

## 5. 印刷動作の実装

### 5-1. PrintDialogを用いた印刷

`PrintDialog`を用いると、印刷の設定および実行が容易になります。`PrintVisual`メソッドを通じて、指定した`Visual`を印刷します。

### 5-2. XPSドキュメントの作成と印刷

`XpsDocumentWriter`を使用することで、VisualをXPS形式で印刷できます。

```csharp

PrintDialog printDialog = new PrintDialog();

if (printDialog.ShowDialog() == true)

{

    XpsDocumentWriter writer = PrintQueue.CreateXpsDocumentWriter(printDialog.PrintQueue);

    writer.Write(drawingVisual);

}

```

## 6. コードサンプル

### 6-1. PrintDialogを用いた基本的な印刷

```csharp

PrintDialog printDialog = new PrintDialog();

if (printDialog.ShowDialog() == true)

{

    printDialog.PrintVisual(myVisual, "Printing a Visual");

}

```

### 6-2. XPSドキュメントを用いた印刷

```csharp

PrintDialog printDialog = new PrintDialog();

if (printDialog.ShowDialog() == true)

{

    XpsDocumentWriter writer = PrintQueue.CreateXpsDocumentWriter(printDialog.PrintQueue);

    writer.Write(myVisual);

}

```

## 7. 印刷設定のカスタマイズ

### 7-1. ページ設定とレイアウトの調整

印刷時のページ設定やレイアウトをカスタマイズでき、異なる紙やレイアウトに適応できます。`PageMediaSize`を使用して用紙サイズを設定可能です。

### 7-2. 印刷プレビューの実装

印刷プレビューは、印刷内容を事前に確認するための機能です。`FlowDocument`や`DocumentViewer`を使用して実装できます。

## 8. WPF印刷のベストプラクティス

- **UIスレッドの確保**: 印刷操作はメインUIスレッドとは非同期に行うことを推奨します。

- **リソース管理**: 印刷中のリソース（フォントや画像）の使用は適切に管理し、メモリリークを防ぎます。

- **エラーハンドリング**: 印刷失敗時の対策（例: 例外処理）を講じます。

## 9. よくある課題とその対処法

印刷に関するよくある課題とその対策を以下に示します。

- **印刷の失敗**: プリンタとの接続確認やエラーハンドリングの強化を行います。

- **レイアウトの崩れ**: `TextBlock`の`TextWrapping`プロパティを有効にし、ラベルや画像のスケーリングを調整します。

- **印刷速度**: 大容量データの印刷時、XPS形式での印刷を最適化することで対応します。

## 10. まとめ

C# WPFは、リッチで柔軟な印刷機能を組み込むための強力な基盤を提供します。適切なAPIの利用により、高品質な印刷出力が可能となり、特に業務アプリケーションにおいて重要な機能を果たします。開発者は、安全性とパフォーマンスを考慮した印刷機能の実装により、ユーザー満足度を向上させることができます。

C# WPFによる印刷機能の実装ガイド

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