

# Oracle Computeを用いた災害復旧DRサイト構築

## 目次

1. はじめに

2. 災害復旧（DR）サイトについて

   - 2-1. 災害復旧の必要性

   - 2-2. 災害復旧の一般的な手法

3. Oracle Computeの概要

   - 3-1. Oracle Cloud Infrastructure (OCI) の特長

   - 3-2. Oracle Computeの利点

4. Oracle Computeを用いたDRサイトの設計

   - 4-1. システム要件の定義

   - 4-2. アーキテクチャ設計

   - 4-3. ネットワークの設定

5. DRサイトの構築手順

   - 5-1. インスタンスの作成

   - 5-2. データのレプリケーションとバックアップ

   - 5-3. フェイルオーバーとリカバリー手順

6. コスト管理と最適化

   - 6-1. コストを考慮したリソース配置

   - 6-2. オートスケーリングの活用

7. ベストプラクティス

   - 7-1. 定期的なテストと検証

   - 7-2. セキュリティ対策の強化

8. まとめ

## 1. はじめに

昨今のビジネス環境では、システムのダウンタイムが致命的な損失を招くことが少なくありません。特に災害によるシステム停止を防ぐための対策として、災害復旧（DR）サイトの構築が重要視されています。本記事では、Oracle Computeを利用して効率的かつコスト効果の高い災害復旧サイトを構築する方法について解説します。

## 2. 災害復旧（DR）サイトについて

### 2-1. 災害復旧の必要性

災害復旧サイトの主な目的は、予期せぬ障害や災害時にもビジネス機能を継続させることです。IDCの調査によると、平均的なシステムダウンのコストは1分あたりおよそ5600ドル（約68万円）であり、小規模から大規模の企業にとっても、迅速な復旧能力が求められています。

### 2-2. 災害復旧の一般的な手法

災害復旧にはいくつかの手法があります。主に以下の3つが挙げられます：

1. **データセンターレプリケーション**：オンプレミスのシステムを他のデータセンターにレプリケーションします。

2. **リージョンベースのバックアップ**：異なる地理的リージョンのクラウドサービスを利用しバックアップを保存します。

3. **ハイブリッドクラウドソリューション**：オンプレミスとクラウドを組み合わせて、多層的にリカバリーを実施します。

## 3. Oracle Computeの概要

### 3-1. Oracle Cloud Infrastructure (OCI) の特長

OCIは高可用性と高性能を備えたエンタープライズグレードのクラウドプラットフォームです。特にDRサイトの構築においては、以下の特長があります：

- **高可用性**：リージョン間の冗長性、アベイラビリティドメインの使用。

- **セキュリティ**：包括的なセキュリティ機能を備えたクラウドインフラ。

- **スケーラビリティ**：必要に応じてリソースを簡単に拡張可能。

### 3-2. Oracle Computeの利点

Oracle Computeは計算リソースとしてクラウド上でサーバーを仮想マシンとしてプロビジョニングするものです。次の利点があります：

- **柔軟性**：さまざまなサイズ、形式の仮想マシンを選択可能。

- **経済性**：使った分だけの課金モデルでコスト効果に優れている。

- **迅速な展開**：迅速なサーバーデプロイメントが可能です。

## 4. Oracle Computeを用いたDRサイトの設計

### 4-1. システム要件の定義

DRサイト構築における最初のステップは、システム要件の明確化です。これには以下を含みます：

- データのレプリケーション頻度

- 復旧時間目標（RTO）

- 復旧時点目標（RPO）

- 必要なセキュリティおよびコンプライアンス要件

### 4-2. アーキテクチャ設計

DRサイトのアーキテクチャは、通常の運用時に使用するアプリケーションのミラーをクラウドに作成し、フェイルオーバー時に切り替える形式をとります。以下は一般的なアーキテクチャの例です：

```

┌────────────────────┐

│    Primary Site    │

├────────────────────┤

│• Application A     │─────┐

│• Application B     │─────┤

└────────────────────┘     │

                           │

┌──────────────────────────┐

│       DR Site            │

├──────────────────────────┤

│• Application A Cloned    │◀──── HEAVY LIFTING

│• Application B Cloned    │◀──── 

└──────────────────────────┘

```

### 4-3. ネットワークの設定

ネットワーク設定は信頼性を確保するために非常に重要です。Oracle Computeでは以下の構成が推奨されます：

1. **Virtual Cloud Network (VCN)** の設定：VCN内で異なるサブネットとルーティングテーブルを設定。

2. **FastConnect** の利用：安定した低レイテンシーの専用接続を利用。

## 5. DRサイトの構築手順

### 5-1. インスタンスの作成

Oracle Computeを利用してインスタンスを作成します。インスタンス作成時には次を考慮してください：

- 適切な形状（CPU, メモリ）を選択。

- 必要に応じてAuto Scalingを設定。

### 5-2. データのレプリケーションとバックアップ

データを定期的にレプリケーションし、バックアップを取得します。主に以下の技術を使用します：

- **Data Guard**: データベースのリアルタイムレプリケーション。

- **オブジェクトストレージバケット**: ノンストラクチャデータの保存。

### 5-3. フェイルオーバーとリカバリー手順

フェイルオーバー手順は、システム障害時の切り替えを円滑に実行するために必須です。通常次の手順を踏みます：

1. データ整合性を確認。

2. 流れを緩やかにDRサイトに切り替える。

3. 全てのサービスが正常に稼働することを検証。

## 6. コスト管理と最適化

### 6-1. コストを考慮したリソース配置

コスト管理は長期的なDR運用のために重要です。コスト削減のためには以下を実施します：

- **リージョン選定**：低コストのリージョンを選択。

- **Flex 計算モデル**：使用頻度に応じた課金。

### 6-2. オートスケーリングの活用

需要のピーク時にのみリソースを増強するようにオートスケーリングを設定します。これにより、無駄なリソース利用を避けることができます。

## 7. ベストプラクティス

### 7-1. 定期的なテストと検証

DRシナリオに基づいた定期的なテストを行い、構成が正しく機能していることを確認します。通常半年に一回のベースでテストを計画します。

### 7-2. セキュリティ対策の強化

- **暗号化**：データは移動中および保存中の両方で暗号化する。

- **アクセス制御**：厳格なアクセス制御ポリシーを実施。

## 8. まとめ

Oracle Computeを利用した災害復旧サイトの構築は、安定的でコスト効率の高いソリューションを提供します。この記事で挙げた設計、構築、運用の手順を踏襲し、適切なベストプラクティスを取り入れることで、システムのダウンタイムを最小限に抑え、事業継続性を確保することが可能です。定期的なテストと更新を行い、最新の技術動向に基づいたDRサイトの維持管理を心掛けましょう。

Oracle Computeを用いた災害復旧DRサイト構築

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