# C++開発者が活用するべきConanの機能

## 目次

1-1. Conanとは

1-2. Conanの利点

1-2-1. パッケージ管理の効率化

1-2-2. 環境の一貫性

1-3. C++プロジェクトでのConanの基本的な利用方法

1-3-1. パッケージの作成

1-3-2. パッケージのインストールと管理

1-4. Conanの高度な機能

1-4-1. カスタムパッケージの作成と管理

1-4-2. CI/CDへの統合

1-5. 他のツールとの比較

1-5-1. vcpkgとの比較

1-5-2. CMakeとの統合

1-6. よくある課題と回避策

1-6-1. 依存関係の衝突

1-6-2. ネットワーク環境の制限

1-7. まとめ

## 1-1. Conanとは

Conanは、C++用のパッケージマネージャとして設計されています。C++のプロジェクトでは、多くのライブラリやツールを必要とすることが一般的であり、それらの依存関係を手動で管理することは非常に煩雑です。Conanはこれを解決するために、ライブラリの取得、ビルド、そして配布を効率良く行う手段を提供します。C++11以降をサポートする環境で広く使われており、標準的な開発環境の一部として認識されています。

## 1-2. Conanの利点

### 1-2-1. パッケージ管理の効率化

Conanは、プロジェクトに必要なすべてのライブラリを指定するconanfile.txtまたはconanfile.pyで管理します。これにより、単一のファイルを通じてバージョン管理と依存関係の解決が可能となり、手動での管理から解放されます。

### 1-2-2. 環境の一貫性

Conanは、さまざまなプラットフォーム間でのビルド環境の整合性を確保します。これは、同一の設定ファイルから異なるビルド構成を自動的に生成するため、開発者が特定の開発環境に依存することなく、容易にプロジェクトを移行できます。

## 1-3. C++プロジェクトでのConanの基本的な利用方法

### 1-3-1. パッケージの作成

Conanを使ってパッケージを作成するには、以下の手順が必要です。

1. `conanfile.py` または `conanfile.txt` をプロジェクトディレクトリに作成。

2. 必要なライブラリとそのバージョンを定義。

3. コマンドラインで `conan export <username>/<repository>` を実行して、パッケージを作成。

簡単な例として、`conanfile.txt` の構成を以下に示します。

```plaintext

[requires]

boost/1.76.0

[generators]

cmake

```

### 1-3-2. パッケージのインストールと管理

パッケージのインストールは以下の手順で行われます。

1. プロジェクトディレクトリで `conan install .` を実行。

2. 指定されたライブラリの依存関係が自動的に解決され、ローカルキャッシュに保存。

3. 必要に応じて `conanfile.lock` に依存関係のバージョンが記録され、確実な再現性が保証。

## 1-4. Conanの高度な機能

### 1-4-1. カスタムパッケージの作成と管理

Conan allows developers to create custom packages. This is useful when dealing with proprietary libraries or when specific patch versions are required. A custom package can be crafted by setting up a recipe (conanfile.py) and defining all necessary build steps and dependencies.

```python

from conans import ConanFile, CMake

class HelloConan(ConanFile):

    name = "Hello"

    version = "0.1"

    settings = "os", "compiler", "build_type", "arch"

    generators = "cmake"

    def source(self):

        self.run("git clone https://github.com/conan-io/hello.git")

    def build(self):

        cmake = CMake(self)

        cmake.configure()

        cmake.build()

```

### 1-4-2. CI/CDへの統合

Conanは、CI/CDプロセスとの親和性が高く、JenkinsやGitHub Actionsなどのパイプラインに容易に組み込むことができます。例えば、GitHub Actionsでは、`.github/workflows` ディレクトリにCIスクリプトを配置し、Conanのパッケージを自動ビルドするジョブを設定できます。

```yaml

name: C++ CI

on: [push, pull_request]

jobs:

  build:

    runs-on: ubuntu-latest

    steps:

    - uses: actions/checkout@v2

    - name: Setup Conan

      run: |

        pip install conan

        conan install . --build=missing

    - name: Build with CMake

      run: mkdir build && cd build && cmake .. && cmake --build .

```

## 1-5. 他のツールとの比較

### 1-5-1. vcpkgとの比較

Microsoftが提供するvcpkgとConanは共にC++のパッケージマネージャですが、それぞれに特徴があります。Conanはクロスプラットフォームでの利用を強く意識しているのに対し、vcpkgはWindows環境での統合性が高いです。

| 機能           | Conan                   | vcpkg                   |

| -------------- | ----------------------- | ----------------------- |

| プラットフォーム | 複数のOS対応（Windows, Linux, macOS） | 主にWindowsとLinux限定    |

| 拡張性          | 高い（カスタムパッケージの作成が容易） | 限定的                    |

| 使用の簡便さ    | 一般的に初心者向け      | 細かい設定が求められる    |

### 1-5-2. CMakeとの統合

ConanはCMakeとの統合性が非常に高く、CMakeを使用したC++プロジェクトでの設定が容易です。これは、特にコンパイルオプションやリンクオプションの自動生成に優れており、開発者の手動設定を最低限に抑えます。

## 1-6. よくある課題と回避策

### 1-6-1. 依存関係の衝突

バージョンの不一致や依存関係の重複が発生することがあります。これを防ぐために、Conanは`conanfile.lock`を利用して特定のバージョンを固定し、プロジェクト間の依存関係の整合性を維持します。

### 1-6-2. ネットワーク環境の制限

ネットワーク環境に制約がある場合、オフラインでのビルドがハードとなる場合があります。ローカルキャッシュを活用することで、依存パッケージを事前ダウンロードして、ネットワークが利用できない環境でも開発を続行できます。

## 1-7. まとめ

Conanは、C++開発におけるパッケージ管理上の課題を解決する強力なツールです。パッケージ管理の一貫性、自動化された依存解決、環境の再現性など、多くの利点を提供します。特に、カスタマイズ性とCI/CDプロセスへの統合サポートは、効率的な開発を進める上で大変重要です。また、vcpkgやCMakeとの比較によっても、その優位性が確認できます。ぜひこの記事を参考にして、Conanの活用を検討してみてください。

C++開発者が活用するべきConanの機能

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