スマートデバイスを安全に利用するためのセキュリティ対策
2023年11月24日 1:29
タブレットやスマホをはじめとした、スマートデバイスの適切な運用は「業務の効率化」や「利便性・顧客満足度の向上」を実現する可能性を秘めています。
しかし、オフィス外でも利用できるスマートデバイスは、紛失や盗難、マルウェア感染などのリスクを防ぐためにセキュリティ対策を十分に行わなければいけません。
セキュリティ対策を怠ってしまった場合、どんなに業務が効率化して生産性が向上したとしても、企業として大きな損害を被る可能性があります。
そこで今回の記事では、企業がスマートデバイスを導入するメリットやセキュリティ上のリスク、そして知っておくべき具体的な対策方法について詳しく解説していきます。
スマートデバイスとは、タブレットやスマホのような高いスペックを持ったデバイスのことです。一般的には、インターネット通信機能やPC機能を搭載したデバイスをさしているケースが多いです。
代表的なスマートデバイスの種類は、次のようなものが挙げられます。
【代表的なスマートデバイスの種類】
スマホやタブレットのような日常生活になじみのあるものから、スマートグラスやスマートなど変わった製品も存在しています。
なおスマートデバイスとスマホの違いについてわからないという方もいるかもしれませんが、スマートデバイスとスマホは比較するものではありません。
スマートデバイスという「ジャンル」の中にスマホが含まれていると考えるのが、2つの違いを理解する上では分かりやすいでしょう。
業績が好調である日本の企業においては、タブレットやスマホなどのスマートデバイスを日常的なビジネスで利用する割合が増えています。総務省が行った、企業のスマートデバイス導入状況について見てみましょう。
【企業のスマートデバイス導入・利用状況についてのアンケート結果】
引用:デジタル化による生活・働き方への影響に関する調査研究成果報告書|総務省
総務省の調査によると、業績が好調である企業ではスマートデバイスを利用した「web会議・チャット・メッセンジャーアプリの使用」などの導入率が高くなっています。
また、導入した企業の7割以上が「業務効率低下につながるものはない」と答えており、導入によってスマートデバイスの有用性を実感するケースが多いようです。
まだスマートデバイスのビジネスシーンにおける利用は日本に浸透しきっていると言えませんが、今後より重要性が高まることは間違いないでしょう。
事業がスマートデバイスを利用することで、次の3つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう
スマートデバイスを日常的な業務で利用することで、次のようなメリットがあります。
スマートデバイスは適切に運用することで時間や工数がかかっていた業務を効率化できます。
仮に、勤怠管理にスマートデバイスを導入したとしましょう。
これまで手動で切らなければならなかったタイムカードを自動化することで「タイムカードを毎月用意して打刻する」手間が省けます。
また、毎月タイムカードを用意するのに必要だった経費も削減可能です。
小さな手間ですが、タイムカードの打刻は出勤日に必ず行わなければならないので、自動化によるメリットは大きいでしょう。
業務量の多さや働く環境の快適さは、常に退職や離職の原因としてトップ3に挙がっています。スマートデバイスの導入によって、たとえ小さな手間であっても減らすことができれば、離職率でさえも低減することができるでしょう。
スマートデバイスの導入は顧客満足度の向上にもつながります。なぜなら、業務の生産性や効率が向上して、サービスの品質も上がるからです。
例えば、スマートデバイスを活用することで、顧客管理がより簡単になります。そのため、顧客管理にかかっていた時間を、顧客の特徴に合わせた対応や提案、問い合わせに対する反応を行う業務に充てることが可能です。
これによって品質アップを図ることもできるため、顧客満足度を向上させることに集中できます。結果的にリピートの顧客が増えて、会社の利益向上にもつながる可能性があると言えるでしょう。
スマートデバイスは、1台で次のようなさまざまな機能が利用できます。
業務の内容によっては、スマートデバイス1台あれば業務を完結することも可能です。
ネットワークにつなげて利用するスマートデバイスは、さまざまなセキュリティリスクを抱えているのも事実です。
ここでは、スマートデバイスを利用する上で企業が知っておくべき「セキュリティ上のリスク」を3つご紹介します。
持ち運びが簡単にできるスマートデバイスは、従来から利用されてきたパソコンなどと比較しても紛失・盗難のリスクが高いです。
紛失や盗難の被害にあった場合、デバイスを悪用されて機密情報や個人情報の流出が起きてしまうと、企業として大きな被害を被ってしまいます。
オフィスの中であれば、基本的に情報のやり取りはパソコンを使って行います。
しかし、スマートデバイス導入後は、オフィス外でのやり取りも多くなるでしょう。
その際に、操作ミスなどによって社外の人へ機密情報をメールで送信してしまうといった、情報漏洩のリスクが高まることも予想されます。
近年では、パソコンだけではなく、タブレットやスマホを標的としたマルウェア被害が増えています。
例えば、外出先で不用意にフリーwi-fiに接続してしまい、そこからマルウェアに感染してしまうケースです。そのためスマートデバイスを導入する場合は、社内だけではなく社外での適切な取り扱いに関するマニュアルや講習なども必要になってくるでしょう。
スマートデバイスのセキュリティ対策が不足していたことによって、サイバーテロなどの被害を受けた事例は数多く存在します。
例えば、2022年5月には、国内のとある大学機関にて、サイバー攻撃により約2,000件以上のメールアドレスが流出する被害が発生。
他にも、家電製品を販売する大手小売企業では、2020年6月頃にパスワードリストの被害によって、顧客情報が約40万件以上流出してしまうという事件も発生しました。
セキュリティ対策が不足して被害が出てしまった場合、企業の信用は失墜してしまいます。常に起こるリスクがあるので、スマートデバイス導入にあたっては、必ずセキュリティ対策を行わなければいけません。
スマートデバイスのセキュリティ対策不足によって、被害が生じることを防ぐためには、企業全体でしっかりと対策に取り組まなければなりません。
ここでは、スマートデバイスを利用する上で企業がやるべきセキュリティ対策を4つご紹介します。
社員が各自で所有・管理するスマートデバイスは、常に紛失や盗難のリスクを抱えています。
仮に紛失・盗難してしまった場合、不正に利用されてしまう可能性もあるので注意が必要です。
紛失や盗難のリスクに備えて、遠隔で端末を操作できるツールを導入したり、第三者が操作できないよう遠隔からロックをかけたりできる仕組みを導入したりなど、会社がデバイスを常に管理できる体制を整えておきましょう。
スマートデバイスを業務で利用する際に、守らなければならないルールや利用方法のマニュアルを作成することは必須です。
さらに経営層も含めて、スマートデバイスのセキュリティやリスクに関する講習会などを通じた教育を行い、適切な管理運用の意識を根付かせることも必要となります。
各端末から怪しいサイトにアクセスできないように、アクセス管理を徹底して行うことも重要です。
また、車内のどのシステムやどの情報へアクセスを許可するのか、端末に対する社内情報のダウンロードやコピーを許すのかなども、あらかじめ決めておきましょう。
マルウェアなどの脅威に対応するためには、常に最新のウイルス対策ソフトを利用する必要があります。
利用するスマートデバイスに適した対策ソフトを使うことで、万が一のマルウェア感染を防げるように、企業全体で最低限の対策は講じておきましょう。
スマートデバイスの導入を検討している場合、常に障害となるのがコストの問題なのではないでしょうか?
確かにスマホやタブレットを従業員に支給することは、現在よりも余計なコストが増えてしまうことにつながります。
個人が所有しているタブレットやスマホを、導入や管理のコストもかかりません。しかし、ここまで解説してきたように、個人使用のものは常に情報漏洩や不正利用のリスクにさらされています。
コストが増えてしまうことを恐れて個人使用のものを業務で利用していた場合、情報漏洩や不正アクセスの被害が出てしまえば本末転倒になりかねません。
また、スマートデバイスの導入は業務の効率化や生産性の向上など多くのメリットがあります。うまく運用できれば、導入や管理によるコストの増加をカバーすることも可能です。
短期的ではなく長期的な視野で考えて、スマートデバイスの導入を検討してみると良いでしょう。
スマートデバイスを導入することで、業務の効率化や利便性の向上など、さまざまなメリットがあります。
しかし、常にネットワークを介して利用しなければならないので、操作ミスによる情報の漏洩やマルウェアによる被害など、さまざまなリスクを抱えていることは企業として常に意識しなければいけません。
スマートデバイスを導入するにあたっては、必ずセキュリティ対策も並行して行うことを忘れないでください。
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