# Distributed Tracing and Other Context in Logging

## 目次
1. 1-1 背景
2. 1-2 Distributed Tracingの概要
3. 1-3 現在のログインターフェースの課題
4. 1-4 context.Contextの活用
5. 1-5 OpenCensus/OpenTelemetry/OpenTracingについて
6. 1-6 Stripe SDKでのログ関連の課題
7. 1-7 HTTPトランスポートを使った解決策
8. 1-8 他の解決策とその実装
9. 1-9 まとめ

## 1-1 背景

ログは、システムの健全性を確認し、問題を診断するための重要なツールです。しかし、複数のマイクロサービスが絡むシステムでは、特に個々のリクエストに関連するログを正確に追跡することが困難です。Distributed tracingを活用することで、システム全体を通して特定のリクエストがどのように進むのかを視覚化することができ、問題の発見と解決がスムーズになります。

## 1-2 Distributed Tracingの概要

Distributed tracingは、一つのリクエストが分散システムを通過する際にその動きを追跡するためのテクニックです。この技術により、リクエストの各ステップでの遅延やエラーを簡単に見つけることができ、サービス間の関係性や依存関係を可視化することが可能です。

## 1-3 現在のログインターフェースの課題

現在のログインターフェースでは、呼び出し側がトレースIDのような構造化フィールドをログエントリに追加することができません。カスタムロガーによる解決は可能ですが、一般的にはグローバルインスタンスのみが許容されており、インターフェースはログメッセージを引数として渡すだけです。

## 1-4 context.Contextの活用

Go言語の`context.Context`を使うことで、リクエストIDをロガーに渡し、構造化されたログ行にこれらのリクエストIDを含めることができます。これを活用することで、各ログエントリに特定のリクエストのコンテキストを付与でき、より詳細な分析が可能になります。

![img](/mosaic-code.jpg)

## 1-5 OpenCensus/OpenTelemetry/OpenTracingについて

OpenCensus、OpenTelemetry、OpenTracingは、分散トレーシングを実現するための主要なフレームワークです。これらはcontextを利用して、システム全体を通じたトレース情報を伝播させ、各要求のパスを追跡するためのメカニズムを提供します。

## 1-6 Stripe SDKでのログ関連の課題

Stripe SDKを使用する際、SDKのデフォルトのロギング機能とユーザー自身のリクエストロギングを関連付けることが課題となります。SDKのログと自身のシステムのログを容易に関連付けることができれば、デバッグや監査が大いに容易になるでしょう。

## 1-7 HTTPトランスポートを使った解決策

HTTPトランスポートをオーバーライドすることで、特定のリクエストに関する詳細なコンテキストを把握することができます。このアプローチでは、HTTPクライアントのトランスポート層をカスタマイズして、それを通過するリクエストに追加のヘッダ情報を付加します。

![img](/mosaic-code.jpg)

## 1-8 他の解決策とその実装

カスタムロガーを使用せずに、ログインターフェース自体にコンテキストを渡せるようにすることも考えられます。例えば、依存するライブラリにパッチを当てる、またはそのライブラリが提供するフックポイントを活用することで、カスタムのコンテキストフィールドを注入できる可能性があります。

1. **カスタムミドルウェアの実装**: これは、特にWebサーバーの状況で強力なアプローチです。ミドルウェアでcontextを利用し、各リクエストにユニークなIDをつけ、そのIDをログに含めることができます。
2. **共通ログフォーマットの採用**: 法的基準やセキュリティポリシーに従って、監査のしやすさを考慮し、すべてのログエントリに共通のフィールド（タイムスタンプ、リクエストID、ユーザーIDなど）を持たせることは有用です。

![img](/mosaic-code.jpg)

## 1-9 まとめ

Distributed tracingとログの改善は、システムの監視性とメンテナンスの容易さを大幅に向上させます。特に、context.Contextを使ったログシステムの拡張により、関連するリクエストのコンテキストを失うことなく、詳細で一貫性のあるログを残すことができます。さらに、HTTPトランスポートのオーバーライドやカスタムミドルウェアの導入を行うことで、要求に応じた柔軟なトレーシングとログの付加が可能になります。これらの手法を組み合わせることで、システム全体の洞察を深め、問題解決の速度を高めることが期待できます。

# Distributed Tracing and Other Context in Logging

## 目次
1. 1-1 背景
2. 1-2 Distributed Tracingの概要
3. 1-3 現在のログインターフェースの課題
4. 1-4 context.Contextの活用
5. 1-5 OpenCensus/OpenTelemetry/OpenTracingについて
6. 1-6 Stripe SDKでのログ関連の課題
7. 1-7 HTTPトランスポートを使った解決策
8. 1-8 他の解決策とその実装
9. 1-9 まとめ

## 1-1 背景

ログは、システムの健全性を確認し、問題を診断するための重要なツールです。しかし、複数のマイクロサービスが絡むシステムでは、特に個々のリクエストに関連するログを正確に追跡することが困難です。Distributed tracingを活用することで、システム全体を通して特定のリクエストがどのように進むのかを視覚化することができ、問題の発見と解決がスムーズになります。

## 1-2 Distributed Tracingの概要

Distributed tracingは、一つのリクエストが分散システムを通過する際にその動きを追跡するためのテクニックです。この技術により、リクエストの各ステップでの遅延やエラーを簡単に見つけることができ、サービス間の関係性や依存関係を可視化することが可能です。

## 1-3 現在のログインターフェースの課題

現在のログインターフェースでは、呼び出し側がトレースIDのような構造化フィールドをログエントリに追加することができません。カスタムロガーによる解決は可能ですが、一般的にはグローバルインスタンスのみが許容されており、インターフェースはログメッセージを引数として渡すだけです。

## 1-4 context.Contextの活用

Go言語の`context.Context`を使うことで、リクエストIDをロガーに渡し、構造化されたログ行にこれらのリクエストIDを含めることができます。これを活用することで、各ログエントリに特定のリクエストのコンテキストを付与でき、より詳細な分析が可能になります。

```go
import (
    "context"
    "log"
)

func logRequest(ctx context.Context, msg string) {
    requestID, ok := ctx.Value("requestID").(string)
    if !ok {
        requestID = "unknown"
    }
    log.Printf("[RequestID: %s] %s", requestID, msg)
}

// 例: コンテキストと共にログを記録する
ctx := context.WithValue(context.Background(), "requestID", "12345")
logRequest(ctx, "This is a log message.")
```

## 1-5 OpenCensus/OpenTelemetry/OpenTracingについて

OpenCensus、OpenTelemetry、OpenTracingは、分散トレーシングを実現するための主要なフレームワークです。これらはcontextを利用して、システム全体を通じたトレース情報を伝播させ、各要求のパスを追跡するためのメカニズムを提供します。

## 1-6 Stripe SDKでのログ関連の課題

Stripe SDKを使用する際、SDKのデフォルトのロギング機能とユーザー自身のリクエストロギングを関連付けることが課題となります。SDKのログと自身のシステムのログを容易に関連付けることができれば、デバッグや監査が大いに容易になるでしょう。

## 1-7 HTTPトランスポートを使った解決策

HTTPトランスポートをオーバーライドすることで、特定のリクエストに関する詳細なコンテキストを把握することができます。このアプローチでは、HTTPクライアントのトランスポート層をカスタマイズして、それを通過するリクエストに追加のヘッダ情報を付加します。

```go
import (
    "net/http"
)

type Transport struct {
    http.RoundTripper
}

func (t *Transport) RoundTrip(req *http.Request) (*http.Response, error) {
    req.Header.Add("X-Request-ID", "your-request-id")
    return t.RoundTripper.RoundTrip(req)
}

client := &http.Client{
    Transport: &Transport{
        RoundTripper: http.DefaultTransport,
    },
}
```

## 1-8 他の解決策とその実装

カスタムロガーを使用せずに、ログインターフェース自体にコンテキストを渡せるようにすることも考えられます。例えば、依存するライブラリにパッチを当てる、またはそのライブラリが提供するフックポイントを活用することで、カスタムのコンテキストフィールドを注入できる可能性があります。

1. **カスタムミドルウェアの実装**: これは、特にWebサーバーの状況で強力なアプローチです。ミドルウェアでcontextを利用し、各リクエストにユニークなIDをつけ、そのIDをログに含めることができます。
2. **共通ログフォーマットの採用**: 法的基準やセキュリティポリシーに従って、監査のしやすさを考慮し、すべてのログエントリに共通のフィールド（タイムスタンプ、リクエストID、ユーザーIDなど）を持たせることは有用です。

```go
func loggingMiddleware(next http.Handler) http.Handler {
    return http.HandlerFunc(func(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
        requestID := "generated-or-extracted-id"
        ctx := context.WithValue(r.Context(), "requestID", requestID)
        logRequest(ctx, "Intercepted HTTP request")
        next.ServeHTTP(w, r.WithContext(ctx))
    })
}
```

## 1-9 まとめ

Distributed tracingとログの改善は、システムの監視性とメンテナンスの容易さを大幅に向上させます。特に、context.Contextを使ったログシステムの拡張により、関連するリクエストのコンテキストを失うことなく、詳細で一貫性のあるログを残すことができます。さらに、HTTPトランスポートのオーバーライドやカスタムミドルウェアの導入を行うことで、要求に応じた柔軟なトレーシングとログの付加が可能になります。これらの手法を組み合わせることで、システム全体の洞察を深め、問題解決の速度を高めることが期待できます。

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