ソフトウェアエンジニアに将来性はある?経済産業省公開のデータをもとに徹底考察!
2024年03月07日 7:41
私たちの生活に欠かせないITツールのソフトウェアを開発する「ソフトウェアエンジニア」は、もはや世界中の数多くの産業を支えている存在と言っても良いでしょう。しかし、そんなソフトウェアエンジニアとして働いている人たちの中にも、職業の将来性はあるのか不安に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか?
経済産業省が行った調査によると、日本は今後深刻なIT人材不足に陥ることが確実視されており、ソフトウェアエンジニア業界もしばらくは安泰なのではという意見もあります。しかし、その一方でAIや最先端のテクノロジーが発達したことにより、ソフトウェアエンジニアの活躍する場がなくなっていくという指摘も多いようです。
そこで今回の記事では、経済産業省が行っている調査に基づいて発表されたデータをもとに、ソフトウェアエンジニア業界の現状と将来性、なぜ将来性がないと言われるのかとその理由、将来性のあるエンジニアとして活躍するためにはどうすれば良いのかについて解説していきます。
ソフトウェアエンジニアの将来性について見ていく前に、まずは現状について正しく認識する必要があります。ここでは、経済産業省が公開しているデータに基づいて、5つの観点からソフトウェアエンジニア業界の現状について詳しく解説していきます。
AIやITツールの台頭によって、最近ではソフトウェアエンジニアの仕事がなくなっていくという指摘もされるようになりました。しかし、まだまだソフトウェアエンジニアの活躍する場は多く、AIやITツールでは代用できないのが現状です。
しかし、最先端のテクノロジーを駆使すれば、簡単なプログラミングなどはできるようになりつつあります。そのため、現在では単純にプログラミングだけを行っていれば良いというわけではなく、幅広い専門知識やスキルが求められるようになりました。
特に、クライアントとのやり取りで作成するソフトウェアを具体化していく必要のあるソフトウェアエンジニアは、その業界の現状や専門的な知識についても身につける必要があります。
技術者のイメージが強く意外に思われるかもしれませんが、最近のソフトウェアエンジニアにはコミュニケーション能力が求められています。例えば、クライアントに依頼されて受託開発を行う場合、開発するソフトウェアはクライアントの要望に沿ったものでなければいけません。
開発の規模によってはチームでソフトウェアの開発を行うので、チーム間でコミュニケーションを円滑に取る必要があります。こういった背景もあり、スキルはあったとしてもコミュニケーション能力の低いエンジニアは少しずつ活躍の場がなくなっていっているのが現状です。
毎日のようにさまざまな企業から最先端のITツールが発売されている現代社会において、ソフトウェアエンジニアの活躍する場は広がり続けています。
まだまだ、AIや最先端のITツールを使ったとしても、企業が求めるソフトウェア開発は人の手なしでは難しいのが現状です。
他の業界と比較しても勢いのあるIT市場ですが、まだまだ世界的に成長を続けており需要が増加している状況です。
現に、日本においても民間のIT市場規模は毎年成長していくことが予測されています。
引用:国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
今後もテレワークへの取り組みや事業のEC化を進める企業が増えていくと予想されている影響もあり、市場全体は勢いがある状態が続くと言えるでしょう。
そのため、IT業界で働くソフトウェアエンジニアの活躍する場所も、今後まだまだ広がっていくことが予想されます。
経済産業省が公表している基本統計調査データをもとに推計された「IT人材の供給動向の予測」では、日本において2030年までIT人材が不足することがほぼ確実であることが分かっています。
引用:経済産業省商務情報政策局情報処理振興課
すでに人材供給は2019年をピークに減少している状況であり、2023年の段階でもIT業界全体で人材が不足している状況です。そのため、ソフトウェアエンジニア業界も慢性的に人材不足になっている可能性が高く、現状でも需要の高い仕事であると言って良いでしょう。
ソフトウェアエンジニアの現状は需要があったとしても、将来性はあるのか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?ここでは、経済産業省が公開しているデータを参考にしつつ、ソフトウェアエンジニアは将来性のある仕事なのか詳しく解説していきます。
ソフトウェアエンジニアの現状のところでも触れたように、現在の日本はIT人材が慢性的に不足している状況です。2030年の時点では最大約79万人のIT人材が不足すると予測されており、今後しばらくは需要がある仕事なのは間違いないでしょう。
また、独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2023」では、2020年に行われた調査において回答企業の80%以上が質・量の両面で、IT人材不足を感じていると回答していることも分かっています。
こういったデータから見ても、IT人材はすでに不足しており、今後その状況はしばらく続いていくことが予測可能です。
近年では、経済産業省が中心となってDXを推進したこともあり、多くの企業がDXに積極的に取り組むようになりました。IT関連の商品を提供しているベンダー企業だけではなく、ユーザー企業もエンジニアの必要性を認識するようになり、内部にIT部門を設置するところも増えつつあります。
今後もその動きは続くことが予測されており、DXの推進に伴い、ソフトウェアエンジニアの必要性も高まっていくでしょう。
DX化とはそもそも何なのか、エンジニアはどのような役割を果たすのかについてより詳しく知りたいという人は以下の記事も参考にしてください。
【あわせて読みたい】・今さら聞けないdxの意味とは?定義や実施の流れ、導入企業の事例を簡単に解説 |
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総務省が行った「令和3年通信利用動向調査」によると、日本でのスマートフォンの普及がさらに進み、世帯での保有率は88%を超えました。2017年の段階で、スマートフォンの保有率はPCを上回っており、その差は年々拡大していく傾向にあります。
引用:令和3年通信利用動向調査の結果|総務省
スマートフォンの普及率が高まるにつれて、利便性の高いウェブサービスやスマートフォンアプリの利用度も高まっています。これにより、アプリケーションやソフトウェアを開発する市場も拡大傾向にあるため、ソフトウェアエンジニアの活躍する場所が年々増えています。
今後もこの傾向は続くと予測されているので、しばらくの間はソフトウェアエンジニアの需要は年々高まっていく可能性が高いでしょう。
AIやIotが発達することによって、IT分野では毎年のように新たな領域が生まれていると言われています。このような最先端技術に関しては、学習するのが難しく希少価値が高いので、それに関わる人材の需要も非常に高いのが特徴です。
参考:令和3年通信利用動向調査|経済産業省
経済産業省の「我が国におけるIT人材の動向」によると、先端IT人材に対し高い収入を提示する企業が増加しています。今後もテクノロジーの発達によって、最先端技術における新たな分野が生まれる可能性は高いです。
しかし、その一方でそれに関わる人材は希少度が高いままなので、今後はさらに需要が高まっていくことが予測されます。
現状そして今後も需要が高まり続けていると国も予測しているソフトウェアエンジニアですが、しばしばインターネット上では「将来性がない」「今からなるのはやめとけ」といった意見も目立ちます。
なぜこのように、ソフトウェアエンジニアには将来性がないと言われるのか、その理由について以下で詳しく解説していきます。
ソフトウェアエンジニアに将来性がないと言われる理由としては、AIの普及によって仕事がなくなるという指摘がよく挙げられます。しかし、本当にそうなのでしょうか?
基本的に、ソフトウェアエンジニアが行う仕事というのは、クライアントの抱えている課題を開発するシステムやソフトウェアによって解決することです。クライアントの抱えている個別的な事情や現在の状況、社会のトレンド、場合によっては人間関係も含めてソフトウェアを構築する必要があります。
このような複雑な過程を経てソフトウェアを開発するのは、AIには難しいのが現状です。また、AIでさえも全ての業務が自動で行えるというわけではなく、その根幹となる教育や考え方、アルゴリズムの構築はエンジニアが行っています。そのため、AIの進歩によってソフトウェアエンジニアの将来性がなくなるとは言えないでしょう。
ただし、AI分野の進歩は目覚ましく、今後どのような情勢になるかというのは確実には予測できません。
そのため、AIが台頭したとしても仕事を奪われることがないようなソフトウェアエンジニアになることが重要と言えるでしょう。
ソフトウェアエンジニア業界は、一般的にブラック企業が多いイメージが根付いています。かつては「ITエンジニア35歳定年説」とも言われていたように、体力が必要な職業だと言われていました。
しかし、こういったブラック企業が多かったことが問題視されるようになり、近年ではエンジニア業界でも労務管理が厳しくなっています。働き方改革の影響も受けて、過去のエンジニア業界とは比べ物にならないほど労働環境が良くなりました。
また、時代が進むにつれてエンジニアのキャリアパスも増えたことにより、今では何歳でも活躍できる業界になりつつあると言えるでしょう。
どの業界で働くとしても、その分野が勢いのあるものなのかどうかというのは将来性にも大きく関わってきます。ソフトウェアエンジニアとして長く活躍したいのであれば、将来性のある分野に携わるというのも重要です。
ここでは、ソフトウェアエンジニア業界において将来性があると言われている6つの分野についてご紹介します。
【将来性のある6つの分野】
1.AIやビッグデータなどの最先端技術に関する分野
2.IOTに関する分野
3.情報セキュリティに関する分野
4.クラウドサービスに関する分野
5.モバイル通信に関する分野
6.工場などに関わる分野
ChatGPTの目覚ましい成長によって、AIやビッグデータなど最先端技術に関する分野はより注目を集めるようになりました。データを集めて、それに基づき分析を行い修正をしていくといった手法は、AIやビッグデータだけではなくその他の分野でも応用が効くものです。
また、経済産業省が中心となって推進しているDXとの関係も深く、今後も需要が高まっていく分野であることは間違いないでしょう。
IoT(アイオーティー)とはInternetofThingsの略称です。意味は「モノのインターネット」で、あらゆるモノがインターネットに接続される仕組みや考え方を指します。
世界におけるIoT分野の市場規模は、2020年の段階で約7,000から8,000億ドル程度と言われています。日本国内においても市場規模は、02020年の段階で約6兆3,125億円、2025年までの間に年間平均成長率は10.1%を上回ることが見込まれています。
今後、数年間は約10%以上の高い成長率を維持することが見込まれており、数多くある市場の中でも特に成長している分野と言えるでしょう。
個人情報の漏洩やハッキング被害などによって、一般の人々にも情報セキュリティの重要性というのは周知されるようになりました。しかし、その一方で日本における情報セキュリティを担う人材不足は深刻化していることが分かっています。
引用:我が国のサイバーセキュリティ人材の現状について|総務省
総務省が行った調査によると、2020年の段階で情報セキュリティ人材の不足数は約20万人近いことが分かりました。今後もIT関連の分野は成長していくことが確実である以上、情報セキュリティに関しては確実に需要が高まる分野と言えるでしょう。
世界中でクラウドサービスが急速に普及していることもあり、クラウドサービスに関する分野も今後需要が高まることが予測されています。
特に、有用なサービスに対していち早く対応して、業務をこなすことのできるソフトウェアエンジニアになればより活躍することができるでしょう。
ソフトウェアエンジニアの将来性のところでも触れたように、日本では毎年のようにスマートフォンを保有する人たちの割合が高まっています。現在では、5Gサービスを提供する企業も増えており、技術発達するスピードが著しい分野でもあると言えるでしょう。
今後も、モバイル通信に関する分野は成長していくことが予想されており、ソフトウェアエンジニアも活躍できる場所が増えることは間違いありません。
近年注目されているのは、自動化が進んでいる工場などに関わる分野です。各種産業に関わる工場では、AIやロボットなどを導入した自動化が急速に進んでおり、専門的な人材が常に不足している状況と言えます。
今後も、自動化に役立つソフトウェアを開発するなど、ソフトウェアエンジニアの需要が高まる可能性は高いです。
将来性のあるソフトウェアエンジニアの特徴は以下の通りです。
長く業界で活躍できるソフトウェアエンジニアになるために、将来性のある人の特徴を抑えておきましょう。
ソフトウェアエンジニアを評価する上で、最も大きな比重を占めているのがその人のスキルが高いかどうかです。そのため、ソフトウェアエンジニアとして長く活躍するためには、常に業界の最新動向や最新技術を学ぶ意欲が必要となります。
また、最先端技術などのところでも少し触れたように、技術というのは希少性が高ければ高いほど需要も高まります。他に技術者がいない分野での技術を取得したり、他の人より抜きんでたスキルを身につけたりすれば、高い収入を得て長く活躍することが可能です。
将来性のあるソフトウェアエンジニアは、明確なキャリアに関してのビジョンを持ってそれに基づき行動しています。そもそも、ソフトウェアエンジニアとして活躍するためには一定のスキルが必要です。
スキルを取得するためには計画的に学習する必要があり、計画的に学習することができない人は良いキャリアを歩むこともできません。こういった理由から、明確なキャリアに関するビジョンを持っていることが重要となるのです。
近年では、リモートワークや顧客先で常駐するソフトウェアエンジニアも増えつつあります。そのため、どのような環境でも自分自身を管理することができるかどうかというのも、将来的に活躍できるかどうかという点では重要なポイントです。
ソフトウェアエンジニアは、ユーザーの抱えている問題や課題を解決するために、まずはヒアリングでそれを聞き出さなければいけません。そのため、プログラミングスキルだけではなくコミュニケーション能力も必要となります。
ITスキルとは、プログラミングやデータサイエンス、セキュリティに関してなど幅広い知識のことを指します。こういった幅広い知識を身につけることによって、仮に特定の分野に特化していなかったとしても様々な企業で活躍することが可能です。
ソフトウェアエンジニアとして経験やスキルを十分身につけた場合、次の4つのキャリアパスが考えられます。
将来性のあるソフトウェアエンジニアとして、長く活躍するためにも具体的なキャリアパスについて確認しておきましょう。
ITスペシャリストとは、IT技術の専門家としてシステム開発における技術面をサポートする職種です。具体的には、経済産業省が定めているITキル標準でレベル3以上のスキルを1つでも取得しているエンジニアのことを指します。
自身の得意とする工程にのみ参加して作業を行うケースが多いですが、プロジェクト全体を管理する立場として指揮を取ることもあります。
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体の進行を管理して、予算や品質、納期、成果物のクオリティに対して全責任を持つ役職です。プロジェクト全体を見通した上で意思決定を行い、プロジェクトを成功に導くまでが仕事となります。
プロジェクトマネージャーは、顧客を含む社外の人間との交渉やプロジェクト全体の管理、予算などの決定、開発チームのサポートなど幅広い業務をこなすため、様々なスキルが求められます。
ITコンサルタントとは、一言でいえば「ITを活用して企業の課題を解決する専門家」です。
経営戦略に基づいて企業のIT戦略を策定して、システム開発の提案や最適化などを行い、企業の経営をサポートする職種です。
業務内容は、プロジェクトの進捗管理や運用テストなど、所属する企業によって多岐にわたります。
ソフトウェアエンジニアとして経験やスキルを十分に身につけたら、フリーランスとして独立するというのも選択肢の一つです。企業に属していた時よりも高単価な案件を受注すれば、より高年収を得ることができるでしょう。
ただし、十分な単価の案件を受けることができなかったり、そもそも案件自体見つからなかったりといったリスクもあるので独立する際には十分検討する必要があります。
ここでは、ソフトウェアエンジニアの将来性についてよくある質問や疑問についてお答えしていきます。
ソフトウェアエンジニアの主な仕事内容は、クライアントから要望を受けてソフトウェアの開発や設計をすることです。クライアントが求めるものを明確にして、それに基づきソフトウェアの設計を行うなど上流工程を担当するのが、主な仕事となります。
具体的には、要件定義やクライアントとのやり取り、基本設計や詳細設計などです。
一概に将来性を考えたら転職した方がいいとは言えませんが、転職を検討した方が良いケースというのはあります。
例えば、自分の働き方に合わない会社であったり、長く働いても給料アップが見込めない会社だったりする場合です。こういったところで働いている場合は、必要な知識と経験を身につけたら将来を考えて転職するのも選択肢の一つと言えます。
今回解説してきたように、日本ではIT人材不足が深刻化しつつあり、ソフトウェアエンジニアも今後ますます需要が高まる見込みです。もっとも、単純にプログラミングができるから活躍できるというわけではありません。
現在では、プログラミングスキルの他にも、コミュニケーションスキルや他の業種に精通している知識や経験を持っているソフトウェアエンジニアが求められています。
また、今後将来性の高い分野に関わる知識やスキルを身につければ、将来的に高い収入を得ることも可能なのがソフトウェアエンジニアという仕事の魅力的なポイントです。
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