# OpenSSL C API による秘密鍵の安全な保存方法

## 目次

1. はじめに

2. OpenSSLとは

3. 秘密鍵の重要性

4. OpenSSLで秘密鍵を生成する

5. 秘密鍵の安全な保存方法

   1. ファイルシステムでの保存

   2. 暗号化とパスワード保護

   3. ハードウェアセキュリティモジュール (HSM) の利用

6. 秘密鍵管理のベストプラクティス

7. サンプルコード

8. まとめ

## 1. はじめに

セキュリティプロトコルの根幹を支えるのが公開鍵暗号です。その中でも特に秘密鍵の管理は、システムの安全性を左右する重要な要素です。本記事では、OpenSSLのC APIを使用して、秘密鍵を安全に生成し、保存する方法について詳しく解説します。

## 2. OpenSSLとは

OpenSSLは、暗号化およびセキュリティ機能を提供するオープンソースのソフトウェアライブラリであり、SSL（セキュリティソケット層）およびTLS（トランスポート層セキュリティ）プロトコルをサポートします。OpenSSLは、C言語で実装された強力で柔軟な暗号化ライブラリとして多くのセキュアなアプリケーションやサーバーで使用されています。

## 3. 秘密鍵の重要性

秘密鍵は、公開鍵暗号システムで使用される非公開のキーであり、データの暗号化解除やデジタル署名の生成に使われます。もし秘密鍵が漏洩したり、不正にアクセスされたりすると、機密データの漏洩や不正なアクセスが発生する可能性があります。そのため、秘密鍵の安全な保存と管理が非常に重要です。

## 4. OpenSSLで秘密鍵を生成する

秘密鍵の生成は、通常`RSA`や`EC`（楕円曲線）、`DSA`などの方式を用います。以下にRSAの秘密鍵を生成する例を示します。

```c

#include <openssl/rsa.h>

#include <openssl/pem.h>

#include <openssl/err.h>

RSA *generate_rsa_key(int bits) {

    RSA *rsa = NULL;

    BIGNUM *bne = NULL;

    int ret;

    bne = BN_new();

    ret = BN_set_word(bne, RSA_F4);

    if (ret != 1) {

        printf("BN_set_word error\n");

        goto free_all;

    }

    rsa = RSA_new();

    ret = RSA_generate_key_ex(rsa, bits, bne, NULL);

    if (ret != 1) {

        printf("RSA_generate_key_ex error\n");

        RSA_free(rsa);

        rsa = NULL;

    }

free_all:

    BN_free(bne);

    return rsa;

}

```

このコードでは、2048ビットのRSA鍵を生成することができます。鍵のビット数は用途やセキュリティレベルに応じて調整する必要があります。

## 5. 秘密鍵の安全な保存方法

生成した秘密鍵を安全に保存する方法は大きく分けて以下の3つがあります。

### 5.1 ファイルシステムでの保存

OpenSSLは秘密鍵をPEM形式でファイルに保存することができます。次のようにしてファイルに出力します。

```c

FILE *key_file = fopen("private_key.pem", "wb");

if (key_file) {

    PEM_write_RSAPrivateKey(key_file, rsa, NULL, NULL, 0, NULL, NULL);

    fclose(key_file);

}

```

ファイルに保存する場合は、アクセス権限をしっかりと設定することが重要です。例えば、Linux環境であれば`chmod 600`でファイルに対して所有者のみがアクセスできるように設定します。

### 5.2 暗号化とパスワード保護

秘密鍵をファイルに保存する際に、暗号化して保護することが望ましいです。PEMフォーマットでエクスポートする際に、パスワードを設定し、鍵を暗号化することができます。

```c

const char *password = "password";

PEM_write_RSAPrivateKey(key_file, rsa, EVP_aes_256_cbc(), NULL, 0, NULL, (void*)password);

```

パスワード保護されたPEMファイルは、鍵を読み込む際にパスワードが必要となり、漏洩リスクを低減します。

### 5.3 ハードウェアセキュリティモジュール (HSM) の利用

HSMを使用することで、秘密鍵をハードウェア内部で生成・管理し、外部に露出させないようにすることができます。これは非常に高いセキュリティを提供し、金融機関や政府機関などで広く利用されています。

HSMに対応したAPIを通じて鍵を操作することができ、OpenSSLもHSMのサポートを拡張することができます。

## 6. 秘密鍵管理のベストプラクティス

- **最小特権**: 最小のアクセス権限で鍵を管理する。

- **監査**: 鍵の使用やアクセス履歴を記録し、定期的に監査する。

- **定期的な鍵の更新**: 定期的に鍵を更新し、古い鍵を廃棄する。

- **バックアップの保護**: 鍵のバックアップも適切に暗号化し保管する。

## 7. サンプルコード

次に、秘密鍵の生成から保存までの完全な例を示します。

```c

#include <openssl/rsa.h>

#include <openssl/pem.h>

int main() {

    RSA *rsa = generate_rsa_key(2048);

    if (!rsa) {

        printf("Failed to generate RSA key\n");

        return 1;

    }

    FILE *key_file = fopen("private_key.pem", "wb");

    if (key_file) {

        const char *password = "mypassword";

        PEM_write_RSAPrivateKey(key_file, rsa, EVP_aes_256_cbc(), NULL, 0, NULL, (void*)password);

        fclose(key_file);

        printf("Private key has been saved and encrypted with a password.\n");

    } else {

        printf("Unable to open file for writing.\n");

    }

    RSA_free(rsa);

    return 0;

}

```

このコードは、2048ビットのRSA秘密鍵を生成し、パスワードで暗号化された形式で`private_key.pem`に保存します。

## 8. まとめ

OpenSSLを使用した秘密鍵の生成と保存において、セキュリティを確保するためには、適切な方法で秘密鍵を扱うことが求められます。ファイルシステムに保存する場合はアクセス権限を制御し、可能であれば暗号化とパスワード保護を活用します。また、HSMなどの専用ハードウェアを使用することで、さらに強固なセキュリティを提供することができます。鍵管理のベストプラクティスを遵守し、総合的に安全対策を講じることが重要です。

OpenSSL C API による秘密鍵の安全な保存方法

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