# Azure ADとAzure AD DSの違いをわかりやすく解説

## 目次

1. はじめに

2. Azure ADとは？

   - 2-1. 基本機能

   - 2-2. 利用ケース

3. Azure AD DSとは？

   - 3-1. 基本機能

   - 3-2. 利用ケース

4. Azure ADとAzure AD DSの比較

   - 4-1. アーキテクチャの比較

   - 4-2. セキュリティ機能の比較

   - 4-3. コスト比較

5. エンジニアのための選定ガイド

   - 5-1. ビジネスニーズによる選び方

   - 5-2. エンジニアリングの用途別アドバイス

6. まとめ

## 1. はじめに

クラウドベースの認証・認可サービスであるAzure Active Directory (Azure AD)と、その拡張であるAzure AD Domain Services (Azure AD DS)は、企業のITインフラにおいて重要な役割を果たしています。この記事では、Azure ADとAzure AD DSの違いをわかりやすく解説し、それぞれの利用に適したシナリオを理解することで、皆さんが適切な技術選定を行えるようサポートします。

## 2. Azure ADとは？

Azure Active Directory（Azure AD）は、Microsoftが提供するクラウドベースのアイデンティティおよびアクセス管理方式です。企業が利用する多数のクラウドベースアプリケーションやサービスに対するシングルサインオン機能を提供します。

### 2-1. 基本機能

- **シングルサインオン（SSO）**: ユーザーは一度のログインで、様々なアプリケーションに接続可能です。

- **多要素認証（MFA）**: 増加するセキュリティ脅威に対し、多要素でのユーザー認証を設定可能です。

- **Azure AD Connect**: オンプレミスのActive Directoryとの統合を支援します。

- **アイデンティティ保護**: リスクベースのアイデンティティ保護機能です。

### 2-2. 利用ケース

- **クラウドアプリのみを利用**: オンプレミスのインフラを持たない、またはクラウドへの完全移行を目指す場合。

- **拡張性**: 大規模なユーザーの認証を必要とする場合、Azure ADのスケーラビリティが有効です。

## 3. Azure AD DSとは？

Azure Active Directory Domain Services（Azure AD DS）は、Azure ADの拡張機能で、特にレガシーアプリケーション向けに従来のWindows Server Active Directoryの機能をクラウドで提供します。

### 3-1. 基本機能

- **ドメインジョイン**: 仮想マシン（VM）をドメインに参加させ、グループポリシーを適用できます。

- **LDAP、Kerberos、NTLMのサポート**: レガシーアプリケーションのサポートが求められる環境で有効です。

- **グループポリシーの提供**: IT管理者がポリシーに基づいたコンピュータとユーザーの管理を行えます。

### 3-2. 利用ケース

- **ハイブリッド環境**: 一部のレガシーアプリケーションをクラウドに移行しつつ、サポートと管理を継続したい場合。

- **レガシーアプリの維持**: 新しいアプリと並行して過去のアプリケーションを使用する状況。

## 4. Azure ADとAzure AD DSの比較

### 4-1. アーキテクチャの比較

Azure ADは主にクラウド型のIdP（アイデンティティプロバイダー）として機能します。オフィス製品や外部アプリケーションにアクセスするためのSSOを提供します。一方、Azure AD DSはドメインサービスをクラウド上で提供することで、オンプレミスのActive Directoryのクラウド上での拡張として機能します。

| 項目            | Azure AD                          | Azure AD DS                              |

|-----------------|-----------------------------------|------------------------------------------|

| 提供形態        | クラウドベースの認証・認可サービス| 管理済みドメインサービス                |

| 主な用途        | クラウドアプリへのアクセス管理    | レガシーアプリの会社ドメイン管理        |

| 対応プロトコル  | Oauth, SAML, OpenID Connect       | LDAP, Kerberos, NTLM                    |

### 4-2. セキュリティ機能の比較

- **Azure AD**: Azure ADのMFAや条件付きアクセスポリシーによって、より強固なセキュリティ層を設定できます。

- **Azure AD DS**: 概念的にはセキュリティがAzure ADを基盤としつつも、従来のセキュリティプロトコルを使い続ける場面に適しています。

### 4-3. コスト比較

コストは企業の利用形態や必要なスケールに依存しますが、Azure ADはユーザー数に基づく課金制度を採用している一方、Azure AD DSはAD DSインスタンスと管理サービスに基づく料金体系です。企業規模に応じて、組み合わせた利用がコスト効率に影響します。

## 5. エンジニアのための選定ガイド

各プロダクトの選定には、実際のビジネスニーズに基づいた検討が必要です。

### 5-1. ビジネスニーズによる選び方

- **完全なクラウド移行を目指す**: Azure ADがシンプルで管理の容易な選択肢です。

- **既存のオンプレミスアプリを維持したい**: Azure AD DSの利用が適しているでしょう。

### 5-2. エンジニアリングの用途別アドバイス

- **開発現場の運用管理を簡素化**: Azure ADのSSOやIAM（Identity and Access Management）アプローチが効果を発揮します。

- **ITインフラのレガシー支援を維持**: アプリケーション互換性を保つために、Azure AD DSを活用するべきです。

## 6. まとめ

Azure ADとAzure AD DSは、それぞれ異なるユースケースに応じた機能を提供しています。Azure ADは主にクラウドアプリケーションのアクセス管理に最適であり、Azure AD DSはクラウド環境でのレガシーシステムの管理に適しています。企業のIT戦略やニーズに合わせた選択を行うことで、ITリソースの効率的な利用と強固なセキュリティを実現できます。各選択肢の比較とその機能について理解を深めることが、成功への鍵となるでしょう。

Azure ADとAzure AD DSの違いをわかりやすく解説

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