ソフトウェアエンジニアになるための方法|必要なスキルや資格、年収相場について解説
2024年03月14日 6:25
ソフトウェアエンジニアへの就職や転職を検討している人の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、ソフトウェアエンジニアになるうえで知っておきたいポイントについてまとめました。どのような仕事内容なのか、必要なスキルや年収相場、具体的にソフトウェアエンジニアになるための方法について詳しく解説しています。
まずはソフトウェアエンジニアとはどのような仕事を行う職業なのか、また他のエンジニアとはどのような違いがあるのかについて解説していきます。
ソフトウェアエンジニアとは、ソフトウェアの設計・開発・プログラミングなど、ソフトウェアに関するさまざまな分野に精通しているエンジニアのことです。ソフトウェアの要件をクライアントとのやり取りで定義して、ユーザーの要望に従って設計・開発・保守・運用などが主な仕事内容となります。
もっとも、一言でソフトウェアと言ってもさまざまな種類のものがあるので注意が必要です。例えば、私たちが日常的に使っているスマートフォンのアプリケーションや、パソコンにインストールして使用するソフトなど、これら全てがソフトウェアエンジニアが扱う対象となります。
業務によってはあまり関係のないようにも思える家電製品なども取り扱うことがあるので、一般的にはソフトウェアに関する専門家と認識されています。
エンジニアには、ソフトウェアエンジニアの他にもフロントエンジニアやバックエンドエンジニア、Webエンジニアなど様々な種類が存在します。それぞれの違いや特徴について、以下にまとめました。
エンジニアの種類 | 主な業務内容 |
---|---|
ソフトウェアエンジニア | ・ソフトウェアの設計や開発、プログラミングなどソフトウェアに関して様々な分野に関係しているエンジニアのこと |
フロントエンジニア | ・各種サービスの中でユーザーが目にする部分を構築するのが主な業務内容のエンジニアのこと ・利用しているWebアプリケーションのホーム画面やログイン画面などはフロントエンジニアが開発するケースが多い |
バックエンドエンジニア | ・サーバー構築やプログラム開発、保守運用などが主な業務内容のエンジニアのこと ・フロントエンジニアとは異なり、画面に表示されないシステムの部分を構築するのが仕事 |
Webエンジニア | ・WebサイトやECサイトなどで使用する機能の開発や、ITシステム・アプリケーションなどの設計・開発、安定して稼働するように行う運用・保守などWeb開発全般を幅広く行うエンジニアのこと |
ネットワークエンジニア | ・ネットワークの設計から要件定義、構築、保守・監視、運用などを行うエンジニアのこと |
セキュリティエンジニア | ・システムの不正利用やサイバー攻撃などを防ぐためのシステム開発を行うエンジニアのこと |
ソフトウェアエンジニアと混同されがちな仕事として「プログラマー」が挙げられます。プログラマーとは、エンジニアが作成した開発仕様書に基づいて、効率の良いプログラムを組み上げる仕事です。
ソフトウェアエンジニアとプログラマーの大きな違いは、それぞれが担当する仕事の領域となります。プログラマーの場合、主な仕事はエンジニアが作成した開発仕様書に基づいてプログラムを作成することです。
一方でソフトウェアエンジニアの場合、単純にプログラムを作成するだけではなく、クライアントとのやり取りでソフトウェアの要件定義を行ったり、ソフトウェアの設計など上流工程も行います。
ソフトウェアに関連することであればプログラミング以外の業務も行うのがソフトウェアエンジニアで、プログラマーはエンジニアの指示に従ってプログラミングをすると覚えておくと良いでしょう。
ソフトウェアエンジニアになるためには次の4つのスキルが必要です。
【ソフトウェアエンジニアに必要なスキル】
1.IT関連の知識
2.プログラミングスキル
3.コミュニケーション能力
4.業界の最新動向への興味関心
それぞれのスキルについて詳しく解説していきます。
ソフトウェアエンジニアになるためには、ベースとなるIT関連の知識が必要です。ソフトウェアエンジニアはプログラミングだけをすれば良いというわけではなく、他にもソフトウェアやハードウェア、データベース・ネットワーク・セキュリティなどの知識が必要となります。
これらの知識がない場合、ソフトウェアのプログラミングはできたとしても、クライアントの要望を満たすものを作れない可能性が高いです。
プログラミングは、ソフトウェアエンジニアになるためには必須のスキルです。もっとも、ソフトウェア開発に用いられる言語にはJavaScriptやC言語、Pythonなどさまざまな種類があります。
習得するプログラミング言語によって、対応できる案件の数や将来性なども異なってくるので、学習を始める段階で何を選ぶかしっかりと検討しなければいけません。
「どのプログラミング言語を選べば良いのかわからない」「プログラミング言語の違いについて知りたい」という方は、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【あわせて読みたい】 ソフトウェアエンジニアが学ぶべきプログラミング言語の種類・特徴・将来性・選び方を解説 |
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優秀なソフトウェアエンジニアとして活躍するためには、コミュニケーション能力も必要となります。なぜなら、ソフトウェアエンジニアは受託開発などを行う場合、どのようなソフトウェアを開発するのかクライアントから聞き出さなければいけないからです。
クライアントが抱えている問題や課題を解決するソフトウェアを開発するためには、大前提としてどのようなものを求めているのか明確にする必要があります。ソフトウェアエンジニアは、クライアントからこういったことを聞き出して、どのようなソフトウェアにするのか具体化していかなければいけません。
そのためには高いコミュニケーション能力が必要であり、プログラミングだけをやっていれば良いというわけではないのです。
エンジニア業界全体に言えることですが、業界の最新動向や最新技術に関する情報への興味関心がないと優秀なソフトウェアエンジニアにはなれません。
IT業界は常に進歩を続けており、最新動向に関する情報を追っていないと、あっという間に時代に取り残されてしまいます。プログラミング言語だけではなく、ハードやOS、ネットワークに関する最新情報や技術に関しては常にアンテナを張って情報を追っていくことが重要です。
業界の最新動向に関して貪欲に学ぼうとする姿勢があれば、激しく移り変わる時代に置いてかれることなく常に活躍できるエンジニアになれるでしょう。
引用:令和3年分民間給与実態統計調査|国税庁
なお、国税庁が発表している「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、2021年の時点で日本人の平均年収は約443万円であることが分かっています。日本人の平均年収とエンジニアの平均年収を比較すると、正社員だけではなく派遣社員の平均年収も日本人の平均を上回っていることが分かりました。
そのため、業界全体として平均年収相場は高いと言えるでしょう。ソフトウェアエンジニアに関しても、IT業界に属しているので少なくとも日本人の平均年収よりは年収相場が高いことが予想できます。
今からソフトウェアエンジニアになりたいと考えている人にとって、気になるのが業界全体の現状と将来性はあるのかということなのではないでしょうか?
ここでは、ソフトウェアエンジニア業界の現状と今後について、厚生労働省のデータを基に詳しく解説していきます。
現在は深刻なIT人材不足で需要が高い仕事
結論から言うと、ソフトウェアエンジニアの現状は常に需要がある状態であり、今後はますます需要が高まっていくことが厚生労働省によって予想されています。
経済産業省が公表している既存統計調査データをもとに推計された「IT人材の供給動向の予測」では、日本において2030年までIT人材が不足することがほぼ確実であることが分かっています。
引用:経済産業省商務情報政策局情報処理振興課
すでに人材供給は2019年をピークに減少している状況であり、2023年の段階でもIT業界全体で人材が不足している状況です。そのため、ソフトウェアエンジニア業界も慢性的に人材不足になっている可能性が高く、現状でも需要の高い仕事であると言って良いでしょう。
今後も常に需要あり
現在の日本はIT人材が慢性的に不足している状態です。2030年の時点で、最大約79万人のIT人材が予測することが確実視されており、今後しばらくはIT業界において人材の需要が高まっていくことは間違いないでしょう。
また、独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2023」では、2020年に行われた調査において回答企業の80%以上が質・量の両面で、IT人材不足を感じていると回答していることも分かっています。
このような国が発表しているデータに基づいて考えると、IT業界全体は常に人材の需要がある状態であり、どの職種も将来性があると言ってよさそうです。そのため、ソフトウェアエンジニアについても将来性のある仕事としてよいでしょう。
ソフトウェアエンジニアの現状や今後について気になっている人は、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
|【あわせて読みたい】
ソフトウェアエンジニアに将来性はある?経済産業省公開のデータをもとに徹底考察! |
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前提として、エンジニアは資格がなくても働くことができます。もっとも資格を取得することによって、自分のスキルを磨くことができたり、ソフトウェアに関して体系的に学ぶことで知識を深めたりといったメリットがあります。
また、就職や転職の時にも自分自身のスキルや知識を客観的に証明できるので、資格を活用することで就職・転職活動をスムーズに進めることが可能です。
ここでは、実際にソフトウェアエンジニアはどのような資格を取れば良いのか、資格はどれくらいの難易度なのかについて詳しく解説していきます。
基本情報技術者試験とは、IT業界で働く上で必要な基本的な知識や技能が問われる「経済産業省認定」の国家資格です。基本情報技術者試験の学習を通して、日本で求められるデジタル人材に必要な知識や技能はおおよそ身につけることができます。
そのため、基本情報技術者試験は「デジタル人材の登竜門」とも言われている資格です。経済産業省の発表によると、基本情報技術者試験の合格率は25.4%です。毎年約10万人前後の受験者がおり、約4人に1人の2.5万人が合格している計算となります。ただし、近年では合格率が40%近くに伸びており、他の国家資格と比べても難易度は低いと言えるでしょう。
参考:基本情報技術者試験|IPA独立行政法人情報処理推進機構
応用情報技術者試験とは、経済産業省が管轄しているIPA(情報処理推進機構)によって実施されている国家試験です。IPAによると、応用情報技術者試験の対象となる人は「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者」です。
一見すると難しそうに見える試験ですが、過去の合格率は平均約22%前後となっています。これは、受験者の5人に1人が合格している計算です。簡単な難易度の試験とは言えませんが、他の難易度の高い国家資格と比べると挑戦しやすい資格と言えるでしょう。
参考:応用情報技術者試験|IPA独立行政法人情報処理推進機構
システムアーキテクト試験とは、IPAが実施している国家試験の一つです。そもそもシステムアーキテクトとは、クライアントやコンサルタントが描いているビジネスモデルを実現させるために、どのようなシステムを構成していくか考える役割を担っている職種です。
具体的には、エンジニアが設計するためのルール作りや、システムの基本設計を考えるところから担当します。そのため、全体を見通したシステム設計する高度なスキルが必要不可欠です。
システムアーキテクト試験の合格率は、平均で約15%前後となっており、他の国家試験と比べても難易度の高い試験と言えるでしょう。
参考:システムアーキテクト試験|IPA独立行政法人情報処理推進機構
ネットワークスペシャリスト試験とは、ネットワーク分野で主導権を持って業務にあたり、指導的立場として活躍することができる人材を養成するために設立された国家資格です。
ネットワークスペシャリスト試験の合格率は約14%であり、他の国家資格と比較してもかなり難しい部類になると言えるでしょう。
参考:ネットワークスペシャリスト試験|試験情報|IPA独立行政...
オラクルマスターとは「OracleDatabase」に関する技術を認定するベンダー資格です。試験では、主にデータベースの管理や運用、SQLに関連する問題が出題されます。
オラクルマスターは、2003年に世界共通の資格基準となり、日本だけではなく海外のすべての国や地域で評価される資格となりました。そのため、将来的に日本だけではなく海外で活躍できるエンジニアになりたいという人におすすめの資格と言えるでしょう。
オラクルマスターの試験に合格することで、専門の知識が身についたり、世界でトップシェアのデータベースを高いレベルで扱えるようになったりします。
ソフトウェアエンジニアになってから「自分には向いていないかも…」と後悔することは、誰もが避けたいことでしょう。特に、IT業界のエンジニアは一般的に向き・不向きがはっきりしている職種だと言われており、事前に自分がどうなのかある程度判断することが可能です。
そこで、ソフトウェアエンジニアに向いている人と向いていない人の特徴についてご紹介します。
まずは、ソフトウェアエンジニアに向いている人の特徴です。
続いて、ソフトウェアエンジニアに向いていない人の特徴を見てみましょう。
企業によっては、未経験でもソフトウェアエンジニアを採用しているところはあります。もっとも、プログラムに関しての知識がまったくない状態で、就職や転職を成功させるというのは難しいです。
事前にIT業界やプログラミング言語に関して、ある程度スキルや知識を得ておくことをおすすめします。ここでは、ソフトウェアエンジニアになるために必須である、プログラミング言語を学ぶ方法について詳しく解説していきます。
最近ではプログラミング学習に関して体系的にまとめている書籍や、無料で利用できるプログラミングに関するサイトなどが増えつつあります。こういったものを利用すれば、独学でプログラミング学習を行って、就職や転職に必要なスキルや知識を身につけることも可能です。
ただし、独学でプログラミング学習を進めていく場合、何かわからないことがあっても質問ができないので挫折してしまうケースも多いです。
ソフトウェアエンジニアになるための知識と技術を身につけたいのであれば、プログラミングスクールに通うのもおすすめです。しっかりとしたカリキュラムが組まれているスクールに通うことで、未経験からでも企業で働くことのできるエンジニアになることができます。
また、プログラミングスクールによっては、学習が完了した後に就職先を紹介してくれるところも。こういったサービスを利用すれば、プログラミング学習だけではなく就職や転職活動も一気に進めることができます。
ソフトウェアエンジニアになるためには、次のような流れで就職・転職活動を行いましょう・
1.企業分析
2.エントリーシートの対策
3.筆記試験
4.面接対策
それぞれについて以下で詳しく解説していきます。
「IT業界はきついからやめた方が良い」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?確かにIT関連の業界はブラックのイメージが根付いており、エンジニアに対して過酷な労働を強いる企業があるのも事実です。
しかし、どこの業界でも同じように、IT業界に属する全ての企業がブラックというわけではありません。最近は、働き方改革の影響でIT業界に属している企業の労働環境も改善されつつあります。
そこで、企業分析を行う際は「3年後の離職率・福利厚生・人事評価制度」などに注目すると良いでしょう。特に離職率が高い企業の場合、まだ労働環境が改善されておらずブラック企業である可能性が高いです。
エントリーシートを作成する際は、ソフトウェアエンジニアに必要なスキルに関してアピールすることを意識しましょう。
例えば、IT関連の知識やプログラミングスキルを得るために、資格を取得したのであればそのことは必ず記載してください。また、どのようにプログラミングスキルを身につけたのか、プログラミングスクールに通った経験や独学でどのような学びを得たかなどもアピールしましょう。
他にも、コミュニケーション能力や課題解決能力でアピールできると、企業に対して好印象を与えることができます。
新卒採用だけではなく、中途採用でも筆記試験が課される場合があります。筆記試験は対策本が用意されているので、就職活動や転職活動を行う前にある程度勉強しておくと良いでしょう。
一般的にエンジニアの採用を行う場合、企業は次のようなポイントに注目しています。
このようなポイントを意識して、面接試験では自分の経験やスキルを効果的にアピールすることが重要です。
今回の記事では、ソフトウェアエンジニアの仕事内容や活躍する上で必要なスキル、就職や転職する際の流れとポイントについて解説してきました。
家電製品からスマートフォンのアプリケーション、パソコンのソフトなど、私たちの生活のあらゆるシーンに根付いているものに携わっているのがソフトウェアエンジニアです。ソフトウェアエンジニアは、やりがいが感じられるのはもちろんのこと、現在の日本では将来性もある仕事と言えます。
この記事を参考にして、ソフトウェアエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか?
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