# セキュアなパスワード管理の実践【bcrypt × Argon2】

## 1. はじめに

インターネットやコンピュータネットワーク上でのセキュリティにおいて、パスワード管理は特に重要な要素の一つです。パスワードが漏洩した場合、個人情報の流出や不正アクセスといった深刻な問題を引き起こす可能性があるため、その管理には細心の注意が必要です。本記事では、セキュアなパスワード管理を実現する手法として、特にbcryptとArgon2という2種類のパスワードハッシュ化アルゴリズムに焦点を当て、その使い方や利点・欠点について解説します。

## 2. パスワードハッシュ化の必要性

### 2-1. パスワードハッシュ化とは

パスワードハッシュ化とは、ユーザーのパスワードを一方向に変換し、復元不可能な形にするプロセスです。これにより、仮にデータベース内の情報が漏洩しても、元のパスワードそのものが外部に露出するのを防ぐ効果があります。

### 2-2. ハッシュ化の目的

ハッシュ化の主な目的は、保存されるパスワードに対するアクセスを制限し、パスワードの漏洩リスクを最小限に抑えることです。また、ユーザーが同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合にも、あるサービスからの情報漏洩が他のサービスのセキュリティに影響を与えないようにする一助となります。

## 3. bcryptの概要

bcryptは、Blowfish暗号をベースに設計されたパスワードハッシュ化アルゴリズムです。設計者はBruce Schneier氏とNiels Provos氏です。bcryptの主な特徴と利点は以下の通りです。

### 3-1. bcryptの特徴

- **スロー処理**: bcryptは意図的に演算を遅くすることで、ブルートフォース攻撃を困難にします。
- **ソルトの自動生成**: bcryptは、ソルト（ランダムなデータ）を内部で自動生成し、ハッシュに組み込むことで、同じパスワードでも異なるハッシュ値を生成します。
- **コストファクター**: 計算コストを調整することが可能で、コンピュータの進化に応じてコストを増やすこともできます。

### 3-2. bcryptの使い方

bcryptの使い方は簡単で、以下はNode.jsを使用した例です。

![img](/mosaic-code.jpg)

上記の例では、`saltRounds`はコストファクターを指定しており、ハッシュが生成される際の演算コストを定義します。

## 4. Argon2の概要

Argon2は、2015年にPassword Hashing Competitionで優勝した新しいハッシュアルゴリズムです。bcryptと比べてもより強度が強いとされており、次のような特徴があります。

### 4-1. Argon2の特徴

- **メモリハード関数**: Argon2はメモリの消費を意図的に増やすことで、GPUなどによるブルートフォース攻撃を防ぎます。
- **高い柔軟性**: パラメータとしてメモリコスト、時間コスト、およびパラレル度を設定可能。
- **3種類のバリエーション**: Argon2i（メモリ消費重視）、Argon2d（攻撃耐性重視）、Argon2id（バランス設計）。

### 4-2. Argon2の使い方

Pythonを用いたArgon2のハッシュ化プロセスの例を以下に示します。

![img](/mosaic-code.jpg)

このコードでは、`PasswordHasher`を使ってパスワードをハッシュ化し、`verify`メソッドでハッシュの検証を行っています。

## 5. bcryptとArgon2の比較

### 5-1. ハッシュ処理速度

| アルゴリズム | 速度（ミリ秒）    | コメント             |
|--------------|-------------------|----------------------|
| bcrypt       | 約250ms（コスト12）| レガシーだが安定     |
| Argon2       | 約120ms（デフォルト設定）| 最新標準、柔軟性あり |

Argon2はbcryptよりも高速であることが多いですが、設定によりパフォーマンスを自在に調整可能です。

### 5-2. 攻撃耐性

| アルゴリズム | 耐性（スロー処理、メモリ使用）                 | コメント                        |
|--------------|-----------------------------------------------|---------------------------------|
| bcrypt       | スロー処理による耐性                           | 歴史が長い分信頼性がある        |
| Argon2       | メモリハード、スパンが広く最新の設計           | 最新でありながら広い用途に対応 |

Argon2はメモリハードであるため、ブルートフォース攻撃に対して特に強い耐性を持ちます。

## 6. まとめ

セキュアなパスワード管理において、ハッシュ化は情報漏洩防止の重要な手段です。bcryptとArgon2はどちらも信頼できるハッシュアルゴリズムですが、それぞれ特有のメリットがあります。システムのニーズや環境に応じて適切に選択・利用することが、最も重要なポイントです。特に新規システムや更新の際には柔軟かつ高性能なArgon2を採用することが推奨されます。 [cv:issue_marketplace_engineer]

# セキュアなパスワード管理の実践【bcrypt × Argon2】

## 1. はじめに

インターネットやコンピュータネットワーク上でのセキュリティにおいて、パスワード管理は特に重要な要素の一つです。パスワードが漏洩した場合、個人情報の流出や不正アクセスといった深刻な問題を引き起こす可能性があるため、その管理には細心の注意が必要です。本記事では、セキュアなパスワード管理を実現する手法として、特にbcryptとArgon2という2種類のパスワードハッシュ化アルゴリズムに焦点を当て、その使い方や利点・欠点について解説します。

## 2. パスワードハッシュ化の必要性

### 2-1. パスワードハッシュ化とは

パスワードハッシュ化とは、ユーザーのパスワードを一方向に変換し、復元不可能な形にするプロセスです。これにより、仮にデータベース内の情報が漏洩しても、元のパスワードそのものが外部に露出するのを防ぐ効果があります。

### 2-2. ハッシュ化の目的

ハッシュ化の主な目的は、保存されるパスワードに対するアクセスを制限し、パスワードの漏洩リスクを最小限に抑えることです。また、ユーザーが同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合にも、あるサービスからの情報漏洩が他のサービスのセキュリティに影響を与えないようにする一助となります。

## 3. bcryptの概要

bcryptは、Blowfish暗号をベースに設計されたパスワードハッシュ化アルゴリズムです。設計者はBruce Schneier氏とNiels Provos氏です。bcryptの主な特徴と利点は以下の通りです。

### 3-1. bcryptの特徴

- **スロー処理**: bcryptは意図的に演算を遅くすることで、ブルートフォース攻撃を困難にします。
- **ソルトの自動生成**: bcryptは、ソルト（ランダムなデータ）を内部で自動生成し、ハッシュに組み込むことで、同じパスワードでも異なるハッシュ値を生成します。
- **コストファクター**: 計算コストを調整することが可能で、コンピュータの進化に応じてコストを増やすこともできます。

### 3-2. bcryptの使い方

bcryptの使い方は簡単で、以下はNode.jsを使用した例です。

```javascript
const bcrypt = require('bcrypt');
const saltRounds = 10;
const myPlaintextPassword = 's3cur3Passw0rd';

bcrypt.hash(myPlaintextPassword, saltRounds, function(err, hash) {
    if (err) throw err;
    console.log('Hashed password:', hash);
});
```

上記の例では、`saltRounds`はコストファクターを指定しており、ハッシュが生成される際の演算コストを定義します。

## 4. Argon2の概要

Argon2は、2015年にPassword Hashing Competitionで優勝した新しいハッシュアルゴリズムです。bcryptと比べてもより強度が強いとされており、次のような特徴があります。

### 4-1. Argon2の特徴

- **メモリハード関数**: Argon2はメモリの消費を意図的に増やすことで、GPUなどによるブルートフォース攻撃を防ぎます。
- **高い柔軟性**: パラメータとしてメモリコスト、時間コスト、およびパラレル度を設定可能。
- **3種類のバリエーション**: Argon2i（メモリ消費重視）、Argon2d（攻撃耐性重視）、Argon2id（バランス設計）。

### 4-2. Argon2の使い方

Pythonを用いたArgon2のハッシュ化プロセスの例を以下に示します。

```python
from argon2 import PasswordHasher

ph = PasswordHasher()

# パスワードのハッシュ化
hashed_password = ph.hash("s3cur3Passw0rd")
print('Hashed password:', hashed_password)

# パスワードの検証
try:
    ph.verify(hashed_password, "s3cur3Passw0rd")
    print("Verification succeeded.")
except Exception:
    print("Verification failed.")
```

このコードでは、`PasswordHasher`を使ってパスワードをハッシュ化し、`verify`メソッドでハッシュの検証を行っています。

## 5. bcryptとArgon2の比較

### 5-1. ハッシュ処理速度

| アルゴリズム | 速度（ミリ秒）    | コメント             |
|--------------|-------------------|----------------------|
| bcrypt       | 約250ms（コスト12）| レガシーだが安定     |
| Argon2       | 約120ms（デフォルト設定）| 最新標準、柔軟性あり |

Argon2はbcryptよりも高速であることが多いですが、設定によりパフォーマンスを自在に調整可能です。

### 5-2. 攻撃耐性

| アルゴリズム | 耐性（スロー処理、メモリ使用）                 | コメント                        |
|--------------|-----------------------------------------------|---------------------------------|
| bcrypt       | スロー処理による耐性                           | 歴史が長い分信頼性がある        |
| Argon2       | メモリハード、スパンが広く最新の設計           | 最新でありながら広い用途に対応 |

Argon2はメモリハードであるため、ブルートフォース攻撃に対して特に強い耐性を持ちます。

## 6. まとめ

セキュアなパスワード管理において、ハッシュ化は情報漏洩防止の重要な手段です。bcryptとArgon2はどちらも信頼できるハッシュアルゴリズムですが、それぞれ特有のメリットがあります。システムのニーズや環境に応じて適切に選択・利用することが、最も重要なポイントです。特に新規システムや更新の際には柔軟かつ高性能なArgon2を採用することが推奨されます。 [![image](https://firebasestorage.googleapis.com/v0/b/issue-pro-42602.appspot.com/o/topics%2F17fa658b-53c7-4ca0-a28b-e588ed1bd371?alt=media&token=2c00afff-85ff-4428-8d15-696ab676dcb0)](https://i-ssue.com/lp/check_salary)

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1. はじめに

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