車の未来はコネクテッドカー:IoTがもたらす革新
2023年11月23日 1:20
最近、自動車業界においては「コネクテッドカー」という言葉が頻繁に飛び交うようになりました。
コネクテッドカーという言葉が示しているのは、これまでの単なる移動手段としての車ではなく、IoT機器などの最新テクノロジーを使用してさまざまな機能やサービスを提供・利用できる近未来型の車です。
今回は、コネクテッドカーが近年世界的に注目されるようになった理由やメリット、普及によって実現するであろう未来の展望や抱えている問題について分かりやすく解説していきます。
コネクテッドカーとは、その名の通り「接続された車」のことを意味します。
もっとも、単純に車がインターネットなどに繋がっていることだけを意味しているわけではありません。
コネクテッドカーとは「ICT(InformationandCommunicationTechnology)」を利用して、車と人、車と車、車とインフラなどさまざまものとの間で情報をやり取りできる車のことを指しています。
具体的には、運転している際に実際の交通状況をリアルタイムで確認できたり、駅に近い駐車場の空車情報を知ることができたりするのは、コネクテッドカーによるテクノロジーのおかげです。
また、万が一車が事故にあったり、盗難やトラブルに巻き込まれたりした場合、自動的に救急車や警察などに緊急通報する機能が備わっているコネクテッドカーもあります。
従来の車とは異なるコネクテッドカーのメリットは、以下の7つです。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説していきます。
インターネットだけではなくインフラともつながり様々な機能を持つことが期待されているコネクテッドカーは、国が普及に向けて力を入れている状況です。
特に自動走行や限定地域での完全無人運転などに国は着目しており、すでに様々な地域で実証実験が行われています。
引用:第2節自動運転をはじめとする自動化・省力化・無人化に向けた取組|国土交通省Google先生
そのため、今後コネクテッドカーが民間で利用できる状態にまで至った場合は、国を上げて普及・促進をしていくことが予想されます。
コネクテッドカーには、事故や災害時において関係機関へ自動的に通報をする「緊急通報システム」をを搭載することが予定されています。
すでに、ヨーロッパでは、2018年からこのシステムの一般乗用車に対する装備が義務化されており、日本でも2018年7月に国際基準が導入されるようになりました。
ドクターヘリの要請を行うかどうかなどにも活用されており、今後コネクテッドカーの普及によって、日本における救命活動の効率が向上することが期待されています
コネクテッドカーによって、従来の車に関する保険料がより安くお得になる可能性があります。正確に言うと「コネクテッドカーによって自分の走り方に最適の保険を選ぶことができる」ようになるのです。
例えば、コネクテッドカーでは「急発進・急ブレーキ」などが、日常の運転においてどの程度行われているのか計測できます。
保険会社によっては、急発進や急ブレーキなどが少ない安全運転を心がけているドライバーに対して、より保険料が安いプランを提供し始めているようです。
すでに日本の車にも導入されているのが、盗難車両追跡システムです。
これは「所有している車が何者かの盗難にあった時に、その車の位置を遠隔地から追跡できる」というシステムになります。
自分の車を犯罪者から取り戻せるだけではなく、盗まれてから犯罪に利用されるようなことも防げるのが盗難車両追跡システムの優れたポイントです。
すでに日本でもトヨタ自動車などが実装開始しており、今後全ての車に標準装備される可能性もあります。
車と車がつながるV2X(車車間通信)やインフラとつながるV2I(路車間通信)など、走行する周囲の環境とネットワークを通じてつながれるコネクテッドカーによって、ADAS機能(先進運転支援システム)が強化されることも期待されています。
現在のADA機能は、レーダーレーダーなどによる周囲の状況を検知する仕組みがほとんどです。
しかしコネクテッド技術が発達することにより、前方を走っている車両と通信を行い、前の車の加速度を瞬時に把握し追突などの危険性を大きく減少させることが可能となるのです。
車だけではなくインフラともつながれるコネクテッドカーは、交差点の信号情報や歩行者情報などもリアルタイムで把握することが可能です。
これにより事故の防止や交通の円滑化が可能となり、市街地での渋滞などが発生しにくくなることも期待されています。
コネクテッドカーは、交通情報だけではなく周辺施設などともつながることができます。
レストランや駐車場などの混雑状況を確認し、さらにはガソリンスタンドの価格情報も車にいながらチェックできます。
将来的には、車にいながら観光施設の混雑状況や開園情報、お得なチケットに関する情報なども入手できるようになるでしょう。
パソコンやスマートフォンなどで検索しなければならなかった情報が、コネクテッドカーでは運転しながら効果的かつ効率的に入手できるようになるのです。
コネクテッドカーには様々なメリットがありますが、その一方で次のような問題も抱えています。
以下では、それぞれの問題とそれに対する対策や解決策について詳しく解説していきます。
コネクテッドカーは従来の車とは異なり、常にインターネットに接続していることからハッキングされるリスクを抱えています。
不正アクセスによって車の制御を乗っ取られたり、個人情報が漏洩してしまったりする可能性があります。
もっとも自動車メーカーやコネクテッドカーの関連企業は、ハッキングのリスクに対して高度なセキュリティプログラムを導入。
またこまめにセキュリティアップデートを行うことによって、ハッキングのリスクを最小限に抑えています。
ただし、自動車メーカーなどが提供するセキュリティプログラムも万能ではないので、車を利用するユーザーも次のような対策を心がけることが重要です。
【コネクテッドカー利用時にユーザーができる対策】
多くのケースでは、これらに注意することでコネクテッドカーのハッキングリスクを防ぐことができます。
コネクテッドカーやスマートデバイスなどの「セキュリティリスクと具体的な対策方法」については、以下の記事でも詳しく解説しています。
【あわせて読みたい】 |
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コネクテッドカーやスマートデバイスに関するセキュリティリスクや対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 |
コネクテッドカーは、他の車やインフラ設備とつなげるために「車載通信機器」など、従来の車では必要なかった機器を搭載しなければなりません。
また、通信やアプリをはじめとしたサービス利用期なども発生するため、自動車本体の価格が従来よりも高くなる可能性があります。
通信費用などについては、車両購入後数年間は無料としているメーカーも多いです。しかし、基本的には年額や月額での費用が発生すると考えておいた方が良いでしょう。
ただし、今後通信技術の普及に伴い、コネクテッドカー本体の価格や通信・アプリの利用料金などは下がる可能性があります。
インターネットを介して多くの情報が蓄積されるコネクテッドカーの場合、個人情報やパスワードなど重要な情報が車に蓄積されることとなります。
そのため、コネクテッドカー乗り換え時にも、スマートフォンやパソコンなどと同様に、データの削除や移行作業などを行わなければなりません。
結果的に、従来の車よりも、乗り換え時の手続きが複雑になることが予想されています。
いくつかの課題を抱えているものの、従来の車より安全かつ便利なコネクテッドカー。
そんなコネクテッドカーが普及することによって、どのような未来が待っているのでしょうか?
以下では、コネクテッドカー普及によって実現するであろう未来や起こりうる社会の変化についてご紹介します。
従来、車でどこかにドライブに行く場合、事前に行く場所や営業時間などを調べる必要がありました。
もっとも、コネクテッドカーが社会に普及した場合、事前にどこに泊まって何を食べるかなど調べる必要がありません。
ネットワークにつながっていれば、現在地から目的とする場所や施設などを音声のみで検索できるからです。
例えば「この辺のおすすめの観光地は?」といった抽象的な要望だったとしても、インターネットの検索エンジンを利用して車が具体的な場所を紹介してくれます。
営業時間なども踏まえて紹介してくれるので、車で出かけた先の観光地や飲食店などがすでに閉まっていたということもありません。
これらの機能は、現在空いている駐車場をリアルタイムで検索したり、交通状況から最適のルートを検索したりなど、日常生活においても役立ちます。
コネクテッドカーが普及した場合、車のカギは必要なくなります。なぜなら、暗号化したデータを利用できるので、スマートフォンを従来のカギの代わりに利用できるためです。
そのため、コネクテッドカーが一般に普及することにより、カーシェアの普及率が高まることも予想されています。
今後コネクテッドカーに自動運転の技術が搭載されて、すべての車が完全に自動運転化された場合、交通事故は約9割近く減少すると言われています。
基本的に、交通事故の多くは人的ミスが原因です。とっさの判断ミスやスピードの出し過ぎなどは、自動運転によってほとんど防ぐことが可能です。
メリットのところでも触れたように、コネクテッドカーであれば車両の盗難を防ぐことが可能です。
万が一盗難されたとしても、常に位置情報を送信してくれるので、どこに盗まれた車があるのか遠く離れた場所からでも把握できます。
警察とデータを連携することもできるため、すぐに現場に警察官が出動することも可能です。さらに車両を安全な場所まで自動運転で誘導して、そのままエンジンを停止するといった機能の開発も進められています。
今後さらに開発が進めば、車両の盗難被害を減る、もしくはなくなることも期待できるでしょう。
人類が自動車を生み出してから、車は人が操作しなければならない機械の1つでした。世の中の家電製品や通信機器が進化を遂げていく中、自動車のあり方だけはほとんど変わりありませんでした。
しかし、ICTやAIを活用したコネクテッドカーの出現によって、自動車の歴史が大きく変わろうとしています。
すでに導入が少しずつ進んでいる自動運転技術や人工知能によって、ドライバーが必要なくなる日もそう遠くないと言って良いでしょう。
すベての車がコネクテッドカーに変わるのはまだ何十年も先の話ですが、車の変革を間近で体験できることは間違いありません。
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