## Azure SQL Managed Instanceのバックアップとリストア機能

### 目次

1. はじめに

2. Azure SQL Managed Instanceの概要

   1. 特徴と利点

   2. 基本的なアーキテクチャ

3. バックアップ機能の詳細

   1. 自動バックアップ

   2. バックアップの保存場所とライフサイクル

   3. 手動バックアップ

4. リストア機能の詳細

   1. ポイントインタイムリストア

   2. 地域レベルのディザスターリカバリ

   3. バックアップからのリストアプロセス

5. セキュリティとコンプライアンス

   1. データの暗号化

   2. コンプライアンス対応

6. バックアップとリストアのユースケース

   1. データ保護と障害復旧

   2. 環境のクローン作成

7. 性能と制限

   1. バックアップとリストアの時間

   2. 制限事項

8. まとめ

### 1. はじめに

バックアップとリストアは、データベース管理において極めて重要な課題であり、特にデータ損失や障害復旧の観点から、その役割は重大です。Azure SQL Managed Instance（MI）は、パフォーマンス、スケーラビリティ、そしてセキュリティに優れたデータベースを提供しつつ、豊富なバックアップとリストア機能を備えています。本記事では、このAzure SQL Managed Instanceにおけるバックアップとリストア機能の詳細を具体的かつ技術的に解説します。

### 2. Azure SQL Managed Instanceの概要

#### 2-1. 特徴と利点

Azure SQL Managed Instanceは、クラウド環境でフルマネージドSQLサーバーを提供し、オンプレミスのSQL Serverのような互換性と高度な機能を誇ります。特に以下の利点があります。

- **高い互換性**: SQL Serverのほぼすべての機能をサポートし、移行が容易。

- **オートスケーリング**: リソース需要に応じた自動的なスケールアップ/スケールダウン。

- **簡単な管理**: パッチ適用、バックアップ、セキュリティ設定をAzureが管理。

#### 2-2. 基本的なアーキテクチャ

Azure SQL Managed Instanceは、仮想ネットワーク内で実行され、他のAzureサービスやオンプレミスのリソースとシームレスに統合されます。これにより、可用性ゾーンやリージョンを跨いでの高可用性が実現可能です。

### 3. バックアップ機能の詳細

#### 3-1. 自動バックアップ

Azure SQL Managed Instanceでは、自動バックアップ機能が標準で提供され、データの完全性を長期間にわたって保証します。バックアップは31日間保持され、以下の種類に分けられます。

- **フルバックアップ**: データベース全体を定期的にバックアップ。

- **差分バックアップ**: 前回のフルバックアップからの変更分をバックアップ。

- **トランザクションログバックアップ**: データ変更に関する詳細を記録し、細かい時間単位でのリストアを可能にする。

#### 3-2. バックアップの保存場所とライフサイクル

バックアップデータはAzure Blobストレージに保存され、データセンターの障害に対する耐障害性を持っています。また、バックアップデータのライフサイクルは自動的に管理され、古いバックアップは適宜クリーンアップされます。

#### 3-3. 手動バックアップ

必要に応じて手動でバックアップをトリガーすることも可能であり、特定のイベント前後のスナップショットを取得する際に便利です。

### 4. リストア機能の詳細

#### 4-1. ポイントインタイムリストア

ポイントインタイムリストア（PITR）は、最短5分単位でのリストアを可能とし、ユーザーは任意の時点に戻すことができるため、データ損失のリスクを最小化します。

#### 4-2. 地域レベルのディザスターリカバリ

Azure SQL Managed Instanceは、地理的に分散されたバックアップを保持し、他のリージョンへのリストアも可能です。これにより、大規模な障害に対応可能な極めて堅牢なシステムが構築されます。

#### 4-3. バックアップからのリストアプロセス

リストアはAzureポータル、PowerShell、またはAzure CLIを使用して簡単に実行できます。これにより、効率的な操作を可能にし、技術的なスキルの幅に応じた柔軟な対応が可能です。

### 5. セキュリティとコンプライアンス

#### 5-1. データの暗号化

バックアップデータはAzureの暗号化プロトコルによりセキュリティが保たれており、待機中および移動中のデータはTLSなどの業界標準技術で保護されています。

#### 5-2. コンプライアンス対応

Azure SQL Managed Instanceは、GDPR、HIPAA、ISO/IEC 27001など、さまざまな国際的なコンプライアンス基準に対応しています。このような機能により、多くの業界において必要な法令を順守することが可能です。

### 6. バックアップとリストアのユースケース

#### 6-1. データ保護と障害復旧

予期しない障害時の迅速なデータリストア、誤操作からのデータ復旧など、データの安全を保障する最も基本的な用途があります。

#### 6-2. 環境のクローン作成

開発やテスト環境を迅速に作成する必要がある場合、既存のバックアップデータを活用して同様の環境をクローンすることで、とても効率的に作業を進行できます。

### 7. 性能と制限

#### 7-1. バックアップとリストアの時間

バックアップとリストアの時間は、データベースサイズ、トランザクションの量、およびネットワーク速度に依存します。例えば、数GBのデータベースのフルバックアップは数分で完了しますが、100GB以上の大規模なデータベースのリストアでは数時間を要することもあります。

#### 7-2. 制限事項

現在、バックアップの数には一定の制限があり、適切な計画が必要です。たとえば、サーバーレスバックアップを保持できる数にはプロジェクトごとの割り当てが存在し、これを超える場合は古いバックアップを削除するか新しいストレージの手配が必要になります。

### 8. まとめ

Azure SQL Managed Instanceのバックアップとリストア機能について、詳細に解説しました。これらの機能は、データの整合性を保ち、ビジネスの継続性を保証するために不可欠です。また、他のAzureサービスとの統合や自動化機能により、管理作業は格段に効率化されます。これにより、組織はより安心してデジタルトランスフォーメーションを実施できるでしょう。

Azure SQL Managed Instanceのバックアップとリストア機能

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