なぜ多くの企業でDXの内製化が進んでいるのか?メリット・注意点・成功事例を解説

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2024年03月05日 7:09

経済産業省が中心となって企業の意識改革を進めたことで、多くの企業でDXが行われるようになりました。もっとも、企業がDXを推し進めるにあたって、常に問題となるのが「内製化」です。

時間やコストをかけてでも社内で対応できるリソースだけでDXを進めていくべきなのか、もしくは大まかな目標や戦略などは社内で考えて、具体的なツールなどの開発や選定などは外部などに委託する方が良いのかといった悩みを抱えている経営者やDX担当者も増えています。

そこで今回の記事では、なぜ現在多くの企業でDXの内製化が進んでいるのか、その理由や内製化するメリット・注意点などについて解説します。

また、実際にDXを内製化したことによって企業として成功した事例についても紹介するので、DXを内製化すべきか悩んでいる企業の担当者や経営者はぜひ参考にしてください。

そもそもDXの「内製化」とは?

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そもそもDXの「内製化」とは、自社で推し進めているDXに関連したプロジェクトの様々な施策を、外部の企業に委託することなどなく社内のリソースだけで対応することを指します。

DXの内製化を企業が行う場合、次の3つのことを行うケースが多いです。

  • 企業のシステムやサービスを内製化する
  • DXを推し進める体制やプロジェクトの決定権を自社が握る
  • DXを進めるにあたって必要な人材を社員を育てることによって生み出し続ける

日本の企業が内製化を進めるにあたって問題となっているのが、企業のシステムやサービスを内製化することです。例えば、自社の重要なシステムやサービスの構築・運用・保守などを、外部のベンダー企業に対して丸投げしてしまっている場合、内製化を進めるのは容易ではありません。
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引用:DXレポート2.1|経済産業省
経済産業省もDXに関してまとめている「DXレポート」の中で、従来までシステムの構築や運用を外部の企業に丸投げしてしまっている企業が、内製化へ移行しようとするとコストがかかり売上規模が減少してしまうという課題があることを指摘しています。

こういった企業ではいきなりすべてを内製化するのは不可能なので、まずは自社の担当者やIT人材を育成して、徐々に移行できるように体制を整えることが必要です。

後から解説するように、例えばベンダー企業の開発した技術に自社のシステムが大きく依存している場合、DXを進めるにあたって既存のシステムやサービスとの兼ね合いがうまくいかずスムーズに進めることができないことがあります。

そのためDXの内製化を行う上では、まず「進めるにあたっての体制やプロジェクトの決定権を自社が握る」ことから始めなければいけません。どのような方針でDXを進めるのかを自社内で決めて、その後既存のシステムやサービスをいかに内製化するのか計画・実行していく必要があります。

なぜ多くの企業でDXの内製化が進んでいるのか?

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内製化という言葉が日本の企業でよく聞くようになったのは、ここ数年経済産業省が中心となって行っているDXの推進がきっかけでした。

そもそもDXとは、単純に最先端のITツールを導入すればいいというわけではありません。ITツールを活用して、既存のビジネスやサービスに変革をもたらすことこそが、DXを行う本来の目的となります。

そのため、DXはビジネスとITが両輪となって進められなければ成功しません。つまり、単純に業務の効率化を行うだけでは足りず、ITによって既存のビジネスやサービスに価値をもたらすようにしなければならないのです。

しかし、これまで日本の企業の多くは社内のシステム開発から保守・運用までを外部のベンダー企業に外注するのが一般的でした。このような体制の場合、どれだけ簡単なシステムの変更や改修であったとしても、社内で稟議をかけて都度依頼をしなければならないので時間がかかってしまいます。

このやり方では、外部環境の変化や既存のビジネスやサービスに求められるニーズに素早く対応することができません。DXを実現するためには、変化や求められるニーズに迅速に対応することも必要であり、これらを実現するための手段として最適なのが「DXの内製化」なのです。

なお、DXの意味や重要性、定義や実施の流れについては以下の記事で詳しく解説しています。DXに関して、基本的なところから理解したいという人はぜひ参考にしてください。

【あわせて読みたい】
今さら聞けないdxの意味とは?定義や実施の流れ、導入企業の事例を簡単に解説

このような背景があるため、現在では大手企業を中心としてDXの内製化を進める企業が急増しています。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行った調査によると、従業員数1,001名以上の企業の6割が内製化を進めていることが判明しています。
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引用:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査|独立行政法人情報処理推進機構

企業がDXの内製化を進めるメリット

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企業がDXの内製化を進めるメリットは次の3つです。

1.企業独特の文化や考え方に合わせやすい
2.従業員のITリテラシー向上につながる
3.コストを削減できる

それぞれのメリットについて以下で詳しく解説していきます。

1.企業独特の文化や考え方に合わせやすい

DXを内製化することによって、これまで外部の企業に自社のシステムやサービスにおける重要なところを依存していた企業が、時代の変化に合わせて社内で迅速に施策を完結できるようになります。

そのため、企業独特の文化や考え方に合わせやすいのが内製化を行う大きなメリットです。外部の企業に依存していた場合、社外の人たちとのやり取りが発生するので、どうしても説明や理解に時間がかかり迅速な対応が難しくなります。

例えば、新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも起きてから、多くの企業がオンラインでのサービスやシステムの確立、テレワークが可能となる環境作りなどが求められました。

こういった緊急の対応であったとしても、DXに関連した事柄が全て内製化している場合、外部に依存している企業よりも迅速に対応することができます。

つまり、DXの内製化を行うことによって、従来の業務を見直したり、意思決定をしたりするスピードが速くなるので、他の企業と大きな差をつけることが可能となるのです。今後DXの内製化が当たり前になった場合、できていない企業とできている企業では比べ物にならないほどの差が生まれる可能性もあります。

2.従業員のITリテラシー向上につながる

DXの内製化を進めることによって、従業員のITリテラシー向上にもつながるというメリットがあります。

DXは単純にツールを導入するだけではなく、既存のサービスやシステムを理解して、必要なものを取り入れ変革をもたらすことが重要です。仮に、ITリテラシーがないまま内製化に取り組もうとしたとしても、システムを導入すること自体が目的となってしまう可能性があります。

また、ITリテラシーがない場合、内製化を進める担当者と従業員の間で認識のずれが生まれてしまい、思ったようにDXを進めることができない可能性が高いです。

そもそも従業員のITリテラシーが向上していれば、相互の認識が深まりDXや内製化をスムーズに進められるので、起こりうる問題を回避することができるでしょう。

3.コストを削減できる

DXの内製化を進めることで無駄なコストも削減することができます。

例えば、従来の企業におけるシステムに関する分野は、外部のベンダー企業に開発や運用を委託するのが一般的でした。しかしこのような外部に依存してしまっている状態が続くと「社内の従業員がシステムに関して全く理解していない」「要望や要件がベンダー企業の開発環境に依存してしまう」といった問題が起こりやすく、取引が長くなれば長くなるほど既存のベンダー企業との付き合いから抜け出せないという深刻な状況に陥ってしまいます。

これは「ベンダーロックイン」とも呼ばれており、日本企業がDXを進めるにあたって大きな障害になっている現象です。このベンダーロックインの状況に陥ってしまっている企業の場合、既存のベンダー企業との取引が常に不利な状況となってしまうのでコストは増えてしまうという傾向もあります。

このような深刻な問題を防ぐためにも、自社でDXの内製化を進めて、人材や環境を整えることによって会社としての対応力を高めていくことが重要なのです。

企業がDXの内製化を進めるデメリット

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メリットの多い内製化ですが次のようなデメリットもあります。

1.育成に時間がかかる
2.人件費が増加する場合もある
3.設備投資に費用が発生する
4.企業としての技術力やノウハウ獲得に時間がかかる

内製化を行う上でのデメリットについて正しく認識しておきましょう。

1.育成に時間がかかる

外部の企業にシステムの開発などを委任する場合、質の高さをキープできるのは大きなメリットです。残念ながら、内製化を進めるためには必要な人材育成に時間がかかります。

例えば、完全に内製化を図るうえでは、企業として次のような取り組みを行う必要があるでしょう。

【内製化できる人材育成に必要な取り組みの例】
研修などに行って知識や技術を習得する
車内への導入時には専門のチームを立ち上げるなど時間をかけた取り組みが必要
誰を育成するかなどの人材選定をする時間も必要

社内で専門家となる人材を育成するためには時間がかかるので、その他の部門にも影響が出ることも視野に入れておく必要があるでしょう。

2.人件費が増加する場合もある

育成ではなく外部から専門の人材を雇い入れる場合、人件費が増加する可能性もあります。

また、育成だけで対応する場合であったとしても、育成に必要な費用やそのスタッフが行っていた業務を代わりに行う人材などが必要です。

3.設備投資に費用が発生する

内製化を行うためには、人件費だけではなくパソコンなどの機器や環境を整えるための工事費用など設備投資にもお金がかかります。

新しく始めるためには避けることのできない費用ですが、従来通り外部の企業に委任したままであれば費用がかかることなく高い質の仕事を期待できるでしょう。

4.企業としての技術力やノウハウを獲得に時間がかかる

仮に内製化できる人材の育成や確保に成功したとしても、すぐに業務が軌道に乗って利益が生まれるというわけではありません。技術力やノウハウを獲得するためには、それなりの時間がかかります。

そのため、内製化に取り組む場合は、費用だけではなく時間がかかるということも念頭に置いておかなければなりません。

DXの内製化を成功させるための4つのポイント
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DXの内製化を成功させるためにしておきたいポイントは次の4つです。

1.自社の業務内容を整理して内製化するものを決める
2.内製化によって得られる費用対効果を検証する
3.自社に適したITツールはなにか見極める
4.DX人材の確保・育成

それぞれのポイントについて以下で詳しく解説していきます。

1.自社の業務内容を整理して内製化するものを決める

DXの内製化を進めるにあたっては、まず既存の業務内容を整理することが重要です。現在どのような流れで業務が進んでいるのか把握していなければ、内製化することも業務効率を改善することもできません。

独立行政法人情報処理機構が行った調査によると、「プログラミング工程を含めた全体工程の内製化を進めている」と答えた企業は全体の約2割程度でしたが、その企業の多くが「企画・設計などの上流の内製化」が重要であると考えていることがわかっています。
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引用:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査|独立行政法人情報処理推進機構
特に、これまでシステムやサービスの重要な部分をすべて外部の企業に依存していたところが、突然全部を内製化するのはほぼ不可能に近いと言えるでしょう。これから内製化を進めていこうと考えているのであれば、まずは上流過程の内製化から着手することがおすすめです。

2.内製化によって得られる費用対効果を検証する

業務内容を整理して内製化するものを決めたら、次にコストを試算しましょう。これまで外部にお願いしていた業務をすべて内製化する場合、新しい人材の雇用やITツールの導入が必要になるというケースがほとんどです。

新しく発生するコストに対して、内製化することで企業としてどのような恩恵があるのかについてもあらかじめしっかりと検証する必要があります。

3.自社に適したITツールはなにか見極める

DXの内製化を行う上では、自社に適したITツールが何かというのを見極めることも重要です。経済産業省が公開している「DXレポート」では、日本の多くの企業とベンダー企業について次のような問題があることが指摘されています。
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引用:DXレポート|経済産業省
つまり、仮に開発工程の一部を外部の企業に外注するとしても、DXに関する方針や計画を立案したり、要件を確定するのはユーザー企業自身であったりする必要があることを示唆しています。

場合によっては、複雑なものではなくノーコードやローコードで運用できるITシステムを活用することも検討すると良いでしょう。ノーコードとは、ソースコードの記述することなくシステムなどを開発する手法のことで、ローコードは必要最低限のソースコードを記述しながら開発する手法のことです。

こういったシステムやサービスを提供しているところも多くなったため、ITやDXに関する専門的な知識がない人であったとしてもシステムの開発がしやすくなっています。

4.DX人材の確保・育成

経済産業省が行った調査に基づく発表によると、2030年には最大で約79万人以上のIT人材が日本で不足すると言われています。
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引用:IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果|経済産業省
現在の段階でも優秀なエンジニアは各企業による争奪戦となっており、DX人材をすぐに確保するのは困難と言えるでしょう。

また、内製化の対象となる業務がその後も永続的に続くというわけではありません。もっとも、新しい人材を確保しようとする時には、その時に必要不可欠なスキルだけに着目して採用要件を企業は絞りがちです。

DX人材の確保はもちろんのこと、将来のことを見据えた育成環境を整えるのも内製化を進めていく上では欠かすことのできないポイントとなります。

DXの内製化に取り組んで成功した企業の事例3選

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ここではDXの内製化に取り組んで成功した企業の事例を3つご紹介します。

【DXの内製化に取り組んで成功した3つの企業の例】
1.ファーストリテイリング
2.星野リゾート
3.株式会社良品計画

事例1.ファーストリテイリング

世界的な企業として有名なファーストリテイリングでは、2016年に数十名程度しかいなかったエンジニアが、現在では100名を超えるまでになっています。

企業として消費者から求められるものを迅速に達成するために「開発組織の内製化による高い水準での技術力の獲得は絶対条件である」と考えて、常に主体的に動けるエンジニアチームを作ることに注力したそうです。

ファーストリテイリングは内製化を成功させたことによって、ユーザーのニーズに対応したシステムを機能に追加しやすくなり、現場の意見を簡単に取り入れやすくなりました。

事例2.星野リゾート

国内だけではなく海外にも数多くのリゾート施設を運営している星野リゾートでは、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに内製化を強化しました。

特に、ローコードやノーコードツールといった比較的ITリテラシーが低い人でも使いやすいものを活用することによって、IT部門だけではなく「全社員のIT人材化」を促進したそうです。

具体的には、IT部門の半分が中途入社のエンジニアであり、もう半分は現場で働いていたスタッフからの異動というチームを結成して、大浴場の混雑状況を可視化する仕組みやGOTOトラベルキャンペーンに対応したシステムの開発をわずか1ヶ月で成し遂げました。

すでに社員によって開発されたアプリの数は800件を超えており、現場スタッフが自ら開発者となることによって、より良いサービスの提供を目指しています。

事例3.株式会社良品計画

無印良品やMUJIブランドを展開する株式会社良品計画では、2022年8月〜2024年8月の中期経営計画の中で、デジタル組織のプロ化として「プロ人材を100名規模で採用する」ことを発表しています。
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引用:中期経営計画2022年8月期~24年8月期|株式会社良品計画

良品計画が発表している資料の中では、2030年までに実現したいことが多数記載されており、そのためにはDXの内製化を図り自社のデジタル組織や既存のECサービスを強化する必要がありました。

まとめ|DXを内製化して事業に変革をもたらす

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日本だけではなく世界的にDXに取り組む企業は増えています。また日々、生成AIや最先端のITツールが生まれる現代社会において、消費者のニーズや市場の変化が加速していることもDXの内製化が求められている理由の一つです。

目まぐるしく変化する現代社会の中において、迅速に対応するためには外部の企業に依存した環境から脱却して、自社内でDXの内製化を進めることが重要となります。

内製化を進めるにあたっては、プロジェクトを推し進める人材の確保と育成が何よりも重要です。これから内製化に取り組もうと考えている企業は、人材の育成に力を入れることを検討してみてはいかがでしょうか?

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