WebView を利用したウェブサイトの表示が遅くなる理由と解決策

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2025年02月15日 6:58

1. WebView の通信が遅い理由

ネイティブアプリで WebView を利用しウェブサイトを表示すると、通常のブラウザよりも表示速度が遅くなることがあります。その主な理由は以下のとおりです。

1.1 WebView はブラウザと異なるレンダリングエンジンを使用

通常のブラウザ(Chrome、Safari など)は最適化されたエンジンを使用し、高速な JavaScript の実行やページのレンダリングが可能です。一方、WebView は OS に組み込まれているエンジンを使用し、最新のブラウザの機能がフルに使えない場合があります。

1.2 キャッシュの仕組みが異なる

  • Chrome や Safari などのブラウザは、ページのキャッシュを最適化して、二回目以降の読み込みを高速化します。
  • WebView では、キャッシュの管理がアプリ側に依存するため、適切に設定しないと都度フルロードされ、通信量が増え、遅延が発生します。

1.3 ネットワークリクエストのオーバーヘッド

WebView はネイティブコードと JavaScript のブリッジを利用して動作するため、余計なオーバーヘッドが発生し、通常のブラウザよりもリクエスト処理が遅くなることがあります。

1.4 WebView のバージョンが古い

Android の場合、WebView は OS に依存しているため、古いデバイスでは最新のブラウザと比べてパフォーマンスが劣る可能性があります。

1.5 ハードウェアアクセラレーションが無効

  • 一部の WebView 実装では、デフォルトでハードウェアアクセラレーションが無効になっており、描画速度が遅くなることがあります。

2. WebView の通信速度を改善する方法

WebView の表示速度を改善するためには、以下の方法を検討できます。

2.1 WebView のキャッシュを有効化

適切なキャッシュを設定することで、二回目以降の読み込み速度を向上させることができます。

実装例(Android - Kotlin)

img
解説:

  • LOAD_CACHE_ELSE_NETWORK: キャッシュがあればそれを使用し、なければネットワークから取得。
  • LOAD_NO_CACHE: キャッシュを使わず、常にネットワークから取得(遅くなる原因)。
  • LOAD_CACHE_ONLY: オフラインモード向けで、キャッシュのみを使用。

2.2 WebView のハードウェアアクセラレーションを有効化

ハードウェアアクセラレーションを有効にすることで、レンダリング速度を向上させることが可能です。

Android での設定

AndroidManifest.xml で有効化:
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または、Activity 単位で設定:
img

iOS での設定

iOS の WebView (WKWebView) では、デフォルトでハードウェアアクセラレーションが有効になっていますが、WKWebViewConfiguration を適切に設定することでパフォーマンスを改善できます。


2.3 ネットワークリクエストを最適化

WebView 内で不要なリクエストが発生すると、通信時間が増えてしまいます。不要なリクエストを削減し、リソースを圧縮すると改善されます。

不要なリクエストをブロック

img
解説:

  • shouldInterceptRequest を使って、広告や不要なスクリプトの読み込みをブロックすることで、ページの表示速度を向上させます。

2.4 JavaScript の最適化

WebView は JavaScript の実行が遅くなることがあります。そのため、JavaScript の使用を適切に制御します。

JavaScript を有効化

img
しかし、JavaScript を過度に使うとパフォーマンスが低下するため、必要最低限のスクリプトだけを実行するようにします。


2.5 最新の WebView を使用

特に Android の場合、WebView は OS のアップデートに依存しているため、古いバージョンを使っているとパフォーマンスが低下します。

最新の WebView を強制的に使用する設定
img
ユーザーにも最新の WebView にアップデートするよう促すことが重要です。


3. その他のアプローチ

3.1 WebView ではなく Chrome Custom Tabs を利用

WebView の代わりに、Chrome Custom Tabs(Android)や SFSafariViewController(iOS)を利用することで、より高速なページ表示が可能になります。

Chrome Custom Tabs の実装

img
メリット:

  • Chrome のキャッシュを利用できる。
  • レンダリングエンジンが最適化されている。
  • WebView よりも高速にページを表示できる。

4. まとめ

遅くなる原因改善策
WebView のレンダリングエンジンが異なるChrome Custom Tabs などを活用
キャッシュが適切に利用されていないcacheMode の設定を変更
ネットワークリクエストが多すぎるshouldInterceptRequest を活用し不要なリクエストを削減
ハードウェアアクセラレーションが無効hardwareAccelerated=true を設定
JavaScript の実行が遅いjavaScriptEnabled=true を設定し、過剰なスクリプトを削減
古い WebView を使用しているユーザーに最新の WebView にアップデートを促す

WebView のパフォーマンスを最適化することで、ネイティブアプリ内でも快適な Web 表示を実現できます。開発環境に応じた適切な設定を行い、最適なユーザー体験を提供しましょう。

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# WebView
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