SIerとユーザー企業でうまく開発を進める方法
2025年02月21日 1:14
企業経営においてITの役割が増す中、SIer(システムインテグレーター)とユーザー企業の関係はますます重要になっています。しかし、両者の間には「相互不信」が根深く存在しています。「なぜこんなに開発コストが高いのか?」「なぜSIerは柔軟に対応できないのか?」といったユーザー企業側の不満や、「なぜユーザー企業は無茶な要求をするのか?」といったSIer側の不満が交錯しています。
本記事では、SIerとユーザー企業が互いの理解を深め、より円滑に開発を進めるための方法を解説します。
SIerとは、システム開発や運用を専門とする企業であり、ユーザー企業のニーズに応じてITシステムを構築する役割を担います。代表的なSIerとしては、NTTデータ、富士通、NECなどが挙げられます。
ユーザー企業にとってITシステムはビジネスの中核を担う存在ですが、ITの専門知識がない経営層にとっては、SIerの見積もりや開発プロセスが不透明に映ることがあります。結果として、SIerに対して「コストが高い」「納期が遅い」といった不満を抱くことが多くなります。
ユーザー企業は「システム開発はもっと安く、早くできるはずだ」と考えがちですが、SIer側では影響調査や総合テストに多くの工数がかかるため、結果的に高コスト・長期間のプロジェクトになりがちです。
SIerとユーザー企業の間で適切な情報共有が行われていないことが、相互不信の原因の一つです。特に、経営層がシステムの「技術的負債」の実態を理解していないことが問題となります。
日本のSIer業界は、多重下請け構造が一般的であり、プロジェクトの中でさまざまな企業が関与するため、情報伝達の遅れや責任の所在が不明確になることが問題視されています。
ユーザー企業の経営層やIT部門が、システム開発の基本的な知識を持つことで、SIerとの適切なコミュニケーションが可能になります。例えば、技術的負債の概念や、モノリスシステムとマイクロサービスの違いを理解することが重要です。
SIer側も、単に技術的な要件を満たすだけでなく、ユーザー企業のビジネスモデルを理解することで、より価値のある提案が可能になります。例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのシステム提案が求められています。
従来のウォーターフォール型開発では、要件定義からリリースまでに長期間を要するため、ビジネスの変化に対応しにくいという問題があります。これに対し、アジャイル開発やマイクロサービスアーキテクチャを導入することで、開発の柔軟性を高めることが可能になります。
契約書の段階で、SIerとユーザー企業の役割を明確にすることで、責任の所在をはっきりさせることが重要です。特に、システム開発のスコープを明確に定めることで、「丸投げ開発」を防ぐことができます。
ある大手金融機関では、SIerと協力し、モノリスシステムからマイクロサービスアーキテクチャへの移行を進めることで、開発スピードを向上させました。その結果、年2回だったリリース頻度が、毎月のリリースが可能な状態に改善されました。
製造業の企業が、従来のオンプレミスシステムからクラウドベースのシステムに移行する際、SIerとユーザー企業が共同でアジャイル開発を導入。これにより、開発期間が従来の半分に短縮されました。
SIerとユーザー企業の間には相互不信が存在するものの、その原因は「認識の違い」「情報共有の不足」「多重下請け構造」にあることが分かります。これらの課題を解決するためには、以下の取り組みが重要です。
これらを実践することで、SIerとユーザー企業が互いに信頼し、円滑にシステム開発を進めることができるでしょう。
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